いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

今日は、東寺で後七日御修法にご出仕なさっておられる、門跡猊下のお部屋見舞いのご挨拶のため、東寺に伺いました。

1月8日~1月14日、弘法大師が、五穀豊穣や国家安泰を願い、国家守護の大法としてはじめられた新年の祈祷が「御七日御修法(ごしちにちみしほ)」です。後七日御修法は、元日から7日までの前七日節会(ぜんしちにちせちえ)の神事の後の7日間の修法と言う意味です。御修法では、まず勅使が、天皇の御衣を納めた唐櫃をその年の大阿闍梨に渡す「御衣伝達式」を行なわれ、その後、御衣を道場に安置され、真言宗各山の高僧15人が参列なさり7日間にわたって21座の加持祈祷をお勤めになります。834年に空海が宮中に内道場「真言院」を置くことを許され、翌年1月8日から14日まで行われたのが最初で、以後、恒例となり現在は東寺灌頂院で行われています。

 写真は、服部精村執行長、草津栄晋教務部長、寳山龍弘教学課長と。

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靖国神社への新年特別献花。東京御流司所がいけて下さいました

靖国神社には、献華協会所属の流派のいけばなが常に展示されています。嵯峨御流も協会に所属しており、実際の挿花は、関東地区連絡協議会の9司所が毎年交替で1年中の様々な行事のお花をいけていただいています。新年祭に際し、いけばなの奉納で以て御祭神をお慰めする、平成27年新年特別献華のいけばな作品は、東京御流司所が担当してくださいました。12月30日から1月9日まで展示されています。IMG_0315

嵯峨御流「荘厳華」の新しい器と花留『そわか』が発表されました!

平成27年1月5日、ホテルグランヴィア京都に於いて、嵯峨御流華道総司所新年拝賀式が行われました。その席上において、未来志向の、新しい荘厳華の器「そわか」と、花留「そわかホルダー」の発表が行われ、発表の様子は京都新聞にも掲載されました。

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 京都新聞 平成27年1月6日 朝刊 

 

 

 

 

 

 

 

*2015年1月5日 勅封般若心経1200年戊戌開封法会記念 荘厳華『そわか』発表についてのメッセージ。 

平成30年の「勅封般若心経1200年戊戌開封法会」を記念して、荘厳華をもっと身近に感じ、現代生活の中に心経の教えと共に荘厳華を楽しんでいけていただくため、この度、荘厳華の花器と、花留を開発し発表する事になりました。本日、初めて皆様にお披露目します器と花留は、プロジェクトチームを立ち上げ、これまで長年の研究と多大なる尽力により開発されたものです。この新しい荘厳華の器と花留を以て、様々な空間に、また自分にとっての祈りを託す花として、いける過程も楽しみながらお花をいけていただければ嬉しく思います。新しい荘厳華の器、名は『そわか』といいます、純白で細身のすらりとした姿が可憐な美しさを漂わせています。花留は『そわかホルダー」といい、吸水性素材アクアボールを用いた花留です。初心の方でもたやすく留められ、自在に枝葉を振り出すことができます。『そわか』とは、般若心経の中の「そわか」に由来し、「願いが叶う」という意味が込められています。

さて、荘厳華は、真言密教の教えである、仏の知恵と慈悲を表現した曼荼羅の世界感をいけばなで表現するものです。「地水火風空」の「五大」は宇宙の森羅万象を表し、「識」は意識、すなわち精神性を表します。現代において、この「六大」の教えから私達が学ぶべきことは、自然と人が絆を深め、調和することによって豊かな実りある人生がおくれるということではないでしょうか。可憐な一輪の花でも、この『そわかセット』を用いれば、凛とした雰囲気の漂う荘厳華をいけることができます。

平成27年度は、『そわかセット』用いた荘厳華の講習会を、全国の司所研究会で開催していきたいと思います。未来志向の、自由にいけられて楽しい荘厳華が、皆様の日々の生活をより豊かなものにしてくれることと思います。今後、講習会を受けられた皆様から、広く門弟の方へと、喜びと平和を願う心を「そわか」に載せて伝えて頂

くことを心から願っています。またこの度、嵯峨御流オリジナル「そわか」と同時に、曼荼羅の四隅に描かれている華瓶に見立てた姿の「空瓶(くうびょう)」も開発致しました。「空瓶(くうびょう)」には嵯峨三宝または如法筒を用いていけて頂けます。_MG_6515_MG_6829

上賀茂神社 卯杖神事に参列させていただきました

平安京ができる以前からこの地に存在する上賀茂神社。今年、上賀茂神社は20年に一度の御遷宮をお迎えになります。正月初卯の日である1月3日に、卯杖(うづえ)を大神様に奉る神事に13名の方々と一緒に参列させていただきました。元旦から降り積もった雪を踏み分け、宮司様や神官の方の所作を見習いながら、厳かで晴れやかな神事でした。

 

卯杖は、平安時代には新年に邪気を祓うための杖として、梅・桃・ぼけなどの木でつくられ様々な装飾がほどこされて、これを天皇・東宮に奉献されてきたものです。日本の国と、天皇皇后様及び皇太子様の安泰を願い、世界平和の願いを託する杖。現在、上賀茂神社の卯杖は、中が空洞の空木を二本併せて、やぶこうじ・石菖蒲・紙垂(しで)をはさんで、日蔭蔓(ひかげのかずら)を飾ったものです。古代より、ヒカゲノカズラは神聖な植物とされています。この卯杖を作っておられるのは、今では上賀茂神社と熱田神宮だけとの事。嵯峨御流の伝書にも卯杖の事が書かれており、お正月に卯杖を作られる方もいらっしゃると思います、一度節分までに訪れてみられてはいかがでしょうか。

 

上賀茂神社と葵祭の由来について

京都三大祭りの一つ、「葵祭り」は上賀茂神社・下賀茂神社のお祭りです。

神社の縁起は古く、別雷神(わけいかづちのかみ)が、現在の社殿北北西にある神山(こうやま)に降臨された際、御神託により奥山の賢木(さかき)を取り、阿礼に立て、種々のいろあやを飾り、走馬を行い、葵の蔓を装って祭りを行ったのが祭祀の始めと言われています。その後6世紀に賀茂祭(葵祭り)が起こり、平安時代の弘仁元

年(810年)には、嵯峨天皇の勅願により、伊勢の斎宮の制度に準じて第八皇女有智子内親王(うちこないしんのう)を、賀茂の神に御杖代(みつえしろ)として奉られ、以来13世紀初頭の礼子内親王(れいしないしんのう,後鳥羽天皇皇女)までの35名,約400年もの間続き,その後廃絶しました。そして,昭和31年以降再興され,祭

の「路頭の儀」に斎王代・女人列が加えられて,今も京都にお住いの未婚女性が斎王代に選ばれています。

 

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仏像彫刻 木彫工芸作家・久保田唯心先生との出会い

1月2日。梅田阪急百貨店のウィンドウいけばなを手直しした後、7階美術画廊で、1月6日まで開催されている「木彫 福の神・福の仏展」を見てきました。ここで、不思議なお出会いをしました。

百貨店7階の一角、輝くようなオーラに誘われて会場に入ると、すぐにご子息の唯阿さんからお声をかけていただきました。お話ししているうちに、ウィンドウのいけばなを見て下さって、迫力あるいけばなだ、と仰ってくださいました。この画廊で、お正月に吉祥の木彫を30年間毎年展示されているとのお話を伺い、今まで出会わなかったことの方が不思議だと感じました。しかも、御父上の久保田唯心先生からは、大覚寺の本堂「五大堂」に安置されている五大明王を、ご自分のお師匠様と共に彫られたというお話しを伺い、また、仏像を見に様々なところへ足を運ばれるそうですが大覚寺の五大明王様は非常に素晴らしいとお話し下さいました。

今年の阪急コンコースウィンドウ7面の迎春いけばなのストーリーは、自然と人の調和によって実り豊かな一年を過ごす、というものです。自然の森羅万象を五大=地水火風空で表現したウィンドウと、このお出会いに仏縁を感じました!

大覚寺には、平安時代の仏像をはじめ鎌倉時代の大きなもの、そして人間国宝松久朋林様とそのご息子宗林様による五大明王像がお祀りされています。

 

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新年あけましておめでとうございます。大覚寺の「お口祝の儀」で、私の一年が始まります

平成27年元旦、朝5時半。あらたまの年のエネルギーが満ち溢れる大覚寺境内。心経前殿では新年の法要が六座行われます。その二座目に当たる元旦朝5時半、まだ真っ暗な時間に行われる法要に、参列致しました。法要に続いて宸殿紅梅の間にて行われる「お口祝いの儀」では、執行長・檀信徒総代・嵯峨御流華務長が門跡猊下に新年の御祝詞を申し上げます。お口祝(おくちいわい)の間は、歳徳神の掛け軸が懸けられた祭壇に、嵯峨御流「若松七五三の伝」がいけられ、燭台の灯の揺らめきが厳かに金碧障壁画の梅の迫力を際立たせています。この神聖な儀式「お口祝」が終わり宸殿を出ますと、元旦の清新な朝日が昇りはじめます。別室にて大福茶のお薄を門跡猊下・内局様・井上総代様と共に楽しく頂き、食堂でお祝い膳を囲んで、寺内僧職の皆様と新年を言祝ぎ 私の一年は始まります。大覚寺を出るころには、境内は白銀の世界に包まれていました。今年一年、身も心も引き締めて、いけばなを通じて嵯峨天皇様の御心が広がり、世界平和につながることを願います

本年も、皆様と一緒に、一歩一歩前進して参りたいと思いますので何卒よろしくお願い申し上げます。

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大覚寺の迎春花挿花

大覚寺華務職としての大事なお勤めの一つに、新年を迎える大覚寺の寺内挿花があります。12月30日に、西村強甫華道芸術学院長指導の下、嵯峨御流教授/派遣講師の先生方が、大覚寺内の挿花をいたしました。写真は、供待に挿花された作品です。中央の御題花は私がいけさせていただきました。

 他の先生方は、お掃除の行き届いたお堂や門跡様のお部屋などに、いけばなを飾り、寺内は華やかさと荘厳さに包まれました。

 

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梅田阪急百貨店コンコースウィンドウ7面・迎春いけばなをアップします。

7号「吉羊」きっしょう

 

「羊」の字は正面から見た羊の頭、上の点々は羊の角を表している。人類にとって羊は多くの実りをもたらしてくれる宝そのもの、すなわち羊は吉祥の代名詞として、古来「吉羊」の字が用いられた。また、「美」や「善」などの漢字にも「羊」が入っており、どの字もいい意味が含まれている。「群」という字にも「羊」が使われている

ように、温順で集まって仲良く暮らす羊を造形し、自然と人の調和により、豊かな実りを得る一年になるようにとの願いを込めた。 

陰陽五行思想では、冬至の日に一陽が生じ、旧暦12月に二陽が生じ、旧正月(春節)には三陽が開泰すると考えられている。この三陽を「三羊」と表記することに因み、3つの羊をデザインした。

 花材:コウモリラン・チランジア・アナナス・蘭・ジャノヒゲ・芭蕉の葉(金着色)

 

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梅田阪急百貨店コンコースウィンドウ7面・迎春いけばなをアップします。

6号「天地」あまつち

 

地に根を張る南国のたくましい植物の間から見えるはるかな洋上に、ご来光を臨むイメージ。花材は、沖縄からアダンの実を送って頂いた。正月を言祝ぐ松の中でも、もっとも長い葉をもつ「大王松」を用いて。

 題字の天地は、天=人、地=山水土。この字は、書家・瀬原篁冲氏が自然との調和をイメージして創作されたもの。 

花材:大王松・レッドバインなどの蔓・アダンの実・タビビトノキの花・ドラセナ・

ブロメリア・モンステラ 

アダンの実は、沖縄司所前司所長の新垣幸甫先生から頂いたものです。ご主人様と二人で自ら採取してくださった20個の実は、それだけでも貴重であるうえに、いけばなの姿になるようにと葉も軸が付いたものも入れて下さって、段ボール4箱は100㎏を超す重量でした。感謝

 

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梅田阪急百貨店コンコースウィンドウ7面・迎春いけばなをアップします

5号「彩鳳」さいほう

 

宝珠をイメージした作品。宝珠とは、如意宝珠(にょいほうじゅ)と呼ばれ「意」の「如」く、すなわち「思いのまま」という意味を持つめでたい形。鳳凰の翼をイメージした造形を作品の一部に取り込みながら、宇宙へ広がるイメージを表現。題字の彩の頭には、書家・瀬原篁冲氏のイメージで宝珠が書かれている

 

花材:槇・落羽松気根(らくうしょうきこん)・千両・白キングプロテア・葉牡丹・海松・ヘリコニア 

 

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