平安の初め、嵯峨天皇が大沢池で舟遊びの折に、小島に咲く可憐な菊を手折られ、殿上の花瓶に挿されたところ、その姿が自ずから「天、地、人」の三才の法にかなっていたと伝えられています。
嵯峨天皇御影
嵯峨菊
また史書には、庭の花を瓶に挿し、兄の平城天皇に献上したことを記されています。こうした嵯峨天皇の自然や草木に対する慈しみの心(精神)が、いけばな嵯峨御流の礎になっています。当流のいけばなは、『伝承花』と『心粧華』があります。
『伝承花』は「生花」「盛花」「瓶花」「荘厳華」の四つの様式花から成り、『心粧華』は「祈り花」「才の花」「想い花」から成る、新しい時代のニーズに相応した未来感覚の花です。我が嵯峨御流は、これらの古典、現代、未来志向の大枠によって構成されています。
大覚寺 大沢池