いけばな嵯峨御流

6月13日、大正大学 仏教学科基礎ゼミナールの授業を担当しました。

大正大学 仏教学科で、毎年春学期・秋学期一回ずつゲスト講師として招聘を受け、今年で4年目になります。今年は、6月13日に伺いました。登録受講生は36名です。まず、自己紹介を兼ねてお話を致しました。

「大覚寺は1200年の歴史があり、もと嵯峨天皇の御所だったところ。その御所で発祥したのが嵯峨御流です。当初はまだ嵯峨御流という名前ではありません。後になって名前が誕生しました。日本の公的な記録の中では、類聚国史という書物の中に、嵯峨天皇がお花をいけられたという記録が残っております。嵯峨御流は、密教的な思想体系をもった世界で唯一の華道であるといえます」という嵯峨御流の紹介の後、私の講義に移りました。

講演テーマは、「いけばなで命と自然の大切さを学ぶ」です。大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。嵯峨御流の花態にはすべて曼荼羅の宇宙観が現れていますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと、一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。

最後に、荘厳花を「そわか」を用いていけました。密教の六大思想というものが反映された花型である荘厳華は、それぞれの役枝に六大を形にして表現しています。曼荼羅の宇宙観である六大無礙の思想を、森羅万象を表す「地・水・火・風・空」の5つの役枝と精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明しました。最後にスモークツリーと山百合を瓶花にいけ、授業は終了しました。

皆さん、熱心に聞いてくださり、嬉しく思いましたし、担当教授の神達先生、仏教学部長 林田康順先生、秋学期の授業では、荘厳華「そわか」の実技をする予定ですので、楽しみです。

 

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私の、向かって右:神達知純准教授 向かって左は、助手をして下さった嵯峨御流派遣講師 石田啓甫先生。

 
 
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