いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

5月、葵祭の月。大田神社のカキツバタ。

4月29日の昭和の日に、合わせたように初めての花が咲くと言われる、京都市内北区にある、大田の沢のカキツバタ。国の天然記念物に指定されているこの沢のカキツバタは、平安時代の和歌にも詠まれています。

神山(こうやま)や  大田の沢の かきつばた ふかきたのみは 色にみゆらむ

                                                                                                          藤原俊成

 

上賀茂神社の側にあって、今は上賀茂神社の摂社である大田神社の境内にあり、京都三大祭りの一つで最も歴史の古い葵祭が行われる5月15日頃、大田の沢のカキツバタは最盛期を迎えます。

この花は、法眼玲子様が4月30日に撮影された、今年の第1番目の花です。

嵯峨にある料亭「翁」さんの玄関先に、葵祭にゆかりの双葉葵が。近くに寄って裏を覗かないと見えないほど奥ゆかしい花が咲いていました。

葵祭は、上賀茂神社と下鴨神社のお祭で、行列の斎王代をはじめとして全ての人や物、車を引く牛まで葵の葉で飾られます。葵は、古く<あふひ>、と書き、<ひ>は太陽、生命力、神霊を指した言葉で、<あふひ>は逢ふ日、即ち神に出逢うと言う意味があるそうです。

平安時代から、単に祭といえば葵祭を指したように、雅な祭が、京都の夏の到来を告げます。

2017/04/30 10:30

2017/04/30 10:30

 
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4月30日。嵯峨御流華道弘友会司所の師範総会、師範授与式に出席しました。

大阪市天王寺区にある、弘洲会館にて、嵯峨御流華道弘友会司所の師範総会、新師範授与式と祝賀会が開催され、総会の中でデモンストレーションをさせて頂きました。

端午の節句に因んで「薬玉(くすだま)」をつくり、また、五節句の花として、生花「端午の節句の花」をいけました。

<端午>とは5月初めの午の日という意味で、古代中国では、災難を避けるため、香りの強い蓬で人形を作って門戸に掛けたり、同じく強い香りの菖蒲(サトイモ科。アヤメ科の花菖蒲と区別するため真菖蒲とも呼んでいる)を刻んで酒に入れた菖蒲酒などを飲み魔除けにした故事が日本に平安時代頃に伝わっています。その習慣は貴族の間に広まり、真菖蒲や蓬また香草などの薬草を摘んで玉にしたものに造花を飾ったものを「薬玉」と呼んで、長い五色の糸を垂らし、貴族の間で好んで贈答された、というようなことが枕草子にも書かれています。「薬玉」は、現代でも新築祝いなどのセレモニーで厄払いとお祝の意味で用いられている、そのルーツになるものです。

今回の「薬玉」は、私の見立てで、香草を錦の布で包んだものをピンポン菊で、飾りの花を三色の芍薬でつくり、五色の糸の見立ては菖蒲の葉にしました。

生花「端午の節句の花」は、嵯峨御流の伝書に載っている生け方で、5月5日の一日限りのいけ方として、水草である真菖蒲の葉で体と用をいけ、留には陸草の蓬をいけます。真菖蒲には、華やかな花菖蒲のような花ではなく、サトイモ科特有の蕊状花穂がつくため、昔の人はこの花を<実>と呼んで、用の葉の間から咲いているようにいけるいけ方が伝わっています。用の3枚組と、<実分けの葉>と呼ぶ用の前囲いの間に小指くらいの小さい蕊花が入っております。華やかさを添えるため、アヤメ科の花菖蒲の花を体に添えます。

私のデモンストレーションの後は、副司所長による、<木の花包み>の講習でした。庭の一枝をお客様などに差し上げる時、水揚げを施して、このような折り方に包んで差し上げると、心がこもりますね。

総会・.新師範授与式は弘洲会館内で行われ、新師範授与式は5階の和室に於いて、司所長が親示朗読を行い、嵯峨御流の原点をお話しされるなど、厳粛な雰囲気の中で行われました。手作りだからこそ伝わる誠意や絆を強く感じた一日でした。デモンストレーションなど、準備万端に整えて下さった役員の先生方に感謝申し上げます

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5月に、大覚寺・嵯峨御流の事が放映されるテレビ番組をご紹介します。

これらのテレビ番組の中で、私も少しお話しをさせていただきました。

 

・再放送「バラのささやき~創られた美の物語」

     5月6日(土)午後3時~ Eテレ

 

・BS朝日「京都ぶらり歴史探訪」

     5月9日(火)21時~23時

     ※5月2日とお伝えしてしまいましたが、9日になりました。

 

・琉球朝日放送で4月19日に放映された6分間のドキュメンタリー。私もまだ拝見していませんが、沖縄海邦銀行様、(株)カルティベイト社長開様、嵯峨御流沖縄所の皆様のご厚意により、第11回いけばなインターナショナル世界大会in沖縄での、嵯峨御流のデモンストレーションの主題となった祈りの心と琉球王朝を結ぶ奇跡的なご縁、また沖縄の風土と水の大切さを、いけばなの景色いけでいけあらわし、自然環境を守る心を育てる嵯峨御流の理念などが、テレビで放映されました。4月13日にさせて頂いた、沖縄でのいけばなインターナショナル世界大会での嵯峨御流のデモンストレーションの主題は、祈りの心を花で表現し、命の大切さと平和を願う気持ちをいけることでした。沖縄の神々への祈りの心を、舞台の斎場御嶽に献花をする荘厳華で表現しました。

その様子と、奇跡のご縁を結ばせていただけた琉球王朝の末裔でいらっしゃる尚弘子先生とのお出会い、また沖縄の風土と植物を、大切に守っておられる尚先生のお話をドキュメンタリーにして下さったものです。

また、沖縄海邦銀行のロビーに10日から21日まで飾らせて頂いた荘厳華、嵯峨御流沖縄司所の先生方が、毎日手入れやいけかえに行ってくださり、沖縄の多くの皆様にいけはなインターナショナルの意義と、嵯峨御流の祈りの花をご覧いただきました。

お世話になりました全ての皆様のご厚意に、心から感謝しております。

お写真は、開梨花様から頂戴したものを使わせていただきました。

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