いけばな嵯峨御流

2023阪急百貨店ショーウインドー迎春花が展示中です。

いけばな通信

現在、辻󠄀井ミカ華務長と三島司所・茨木司所・甲陽司所・北攝司所・大阪司所・弘友会司所・浪速司所・親和司所の8司所約75名の先生方により挿花された作品が阪急百貨店うめだ本店コンコースウィンドウ7面に飾られています。

1月15日(日)まで展示されておりますので、お近くにお立ち寄りの際は是非、ご覧くださいませ。

以下は辻󠄀井ミカ華務長による2023迎春花への想いですので、ご一読ください。

 

迎春花への想い

日本において伝統的におめでたいとされてきた意匠の数々、そこに込められた目出度さの意味を再認識して、いけばなで表現しました。音通や見立てなど趣向を楽しむ遊び心も日本の文化です。1号ウィンドウから順に、

「四海浪平」龍の姿に見立てた臥龍梅をいけ、天下泰平 運気上昇 世界平和を願う

「開運」水都大阪の益の々繁盛と開運を祈る

「獅子吼」獅子の姿で魔を払う

「癸卯」兎歳にあやかり飛躍・向上を願う

「吉春」キチの音に吉兆の想いを通わせる

「歳寒三友」令和5年癸卯歳御題である「友」を手と手を取り合う友好の姿で現する

「新玉」(あらたま)の年を新しいもので言祝ぐお正月

このようなテーマで、令和5年が友と共に笑いあえる健やかな一年でありますよう、感謝の心で人に接し友好の力を以って明るい未来をともに拓いていきたい、そのような想いを込めて挿花いたします。

 

1号「四海浪平」(しかいなみたいら)

 

「四海浪平龍眠穏」(しかいなみたいらにしてりゅうおだやかにねむる)道元禅師の言葉。四海とは四方の海。転じて天下、世界。また四方の外国。見渡す限り波は穏やか、天下泰平を祝う言葉です。この作品は、四海浪平の語の中にある龍を梅のいけばなで表現しています。歳月を経て育った梅の古木に苔が付き地を這うようになる。その枝が根を下ろして新芽を出し、成長する姿があたかも龍が臥しているように見え、その妙をいけばなで「臥龍梅」と称し楽しんだもので、 嵯峨御流伝書中伝「臥龍梅挿方の心得」に準じていけています。背景には昇龍を描き、いけばなとともに天下泰平 運気上昇 全世界が平和で穏やかであることを願う作品としました。

花材 白梅

 

2号「開運」

 

水都大阪の起点となる住吉の風景を、住吉蒔絵の意匠を取り入れながら、嵯峨御流景色いけ七景三勝のうち、海浜の景を応用して表現しました。住吉の厳かで美しい海浜の風景は古典の王朝文芸に登場し、それに因む住吉蒔絵という伝統的な意匠も生まれました。住吉蒔絵では住吉大社の鳥居、太鼓橋、水、神殿とその周囲に圧倒的な松が描かれています。この作品では、住吉蒔絵に描かれる豊かな松原を大きくいけ、白砂青松とのコントラストを際立たせて、扇絵のようにも見せています。題は、海運の無事を祈ることに掛けて開運としました。

花材 松 水仙 薔薇 ほか

 

3号「獅子吼」(ししく)

 

「獅子」「獅子吼(く)」は、獅子がほえて百獣を恐れ従わせるところから釈迦(しゃか)の説法をたとえて獅子吼と言います。獅子には悪魔を圧する霊力があると信じられたために、門や扉の守護物とする習俗が生じ、日本でも、神社の社前に、狛犬(こまいぬ)と対をなして獅子の像を置き魔除(よ)けとしました。新年や祭礼には「獅子頭(がしら)」をかぶって舞う「獅子舞」も、悪霊退散の呪術であり、中国から伝来しました。この作品は狩野永徳の唐獅子図屏風に着想を得て、岩山を闊歩する二頭の獅子を植物で表現しています。風になびく渦巻くたてがみや尾、力強い体躯などの特徴を踏まえて、手前の獅子は竹根を主素材とし後方の獅子は緑の植物を主素材として構成します。

花材 古木 南方竹の根 サルノコシカケ 石化杉 貝塚伊吹 ユッカ ほか

 

4号「癸卯」(みずのとう)

 

令和5年は癸卯の歳。卯(うさぎ)は穏やかで温厚な性質であることから、「家内安全」、また跳躍する姿からは「飛躍」、「向上」を象徴するものとして親しまれてきました。十于十二支では癸は大地を潤す恵みの雨や霧などをあらわし、卯には「植物の成長」という意味があり、水を得て生命がこれから成長しようとしている状態をあらわし、新しいことに挑戦するのに最適な年と言われています。木へんに卯と書く柳のいろいろな種類を用いて、いけばなの古典の型の一つである生花(せいか)の姿にいけて、野原の風景を表現したいと思います。

花材 赤芽柳 石化柳 行李柳 枝垂柳 椿 ほか

 

5号「吉春」

 

能「石橋(しゃっきょう)」の舞台で親子の獅子の精がみせる勇壮な姿から着想を得た作品です。目も眩むばかりに咲き乱れた牡丹の花に戯れつつ舞台狭しと雄壮な獅子舞を舞って千秋万歳を祝う、豪華で大変めでたい演目です。作品では、勇壮な獅子の勢いを強いイメージで作り出し、獅子が眠る牡丹を葉牡丹で表現します。見るだけで良いことが起こりそうな、元気いっぱいの晴れやかな作品にしたいと、題を「吉春」としました。吉はキツの音にかけて、柑橘のキツであらわします。

花材 ほうきそう パンパス ツゲ 葉牡丹 菊 ほか

 

6号「歳寒三友」

 

令和5年新年お歌会始の御題「友」を松竹梅の歳寒三友の取り合わせで表現します。東洋画の画題の一つで、寒中にも色あせない松と竹、寒中に咲く梅、厳冬の季節に友となる松・竹・梅の三つの植物のことをいいます。また、「友」の漢字の成り立ちは、手と手を合わせた形。同族の者が手と手を合わせて友愛を誓うという意味です。当流のご始祖嵯峨天皇が弘法大師空海とかわされた深い信頼、君臣関係を超越した麗しい友情のあり方を想い、御所車の引手をかさねて「友」の字を、松竹梅で歳寒三友をあらわします。

「友」の御題をいただいて、我々人類は力を合わせて明るい未来をともに切り拓いていきたい、そのようにと念じ制作します。

花材 大王松 蛇の目松 枝垂れ梅 蘭 ほか

 

7号「新玉」(あらたま)

 

「あらたま」は[枕]「年」「月」「春」「来経 (きへ) 」などにかかる枕詞です。

一説には年月の改まる意からともいわれています。

「卯杖」平安時代には新年に邪気を祓うための杖として、柳・梅・桃などの木でつくられ様々な装飾がほどこされて、これを天皇・東宮に奉献されてきたもので嵯峨御流の伝書に「蘿蔓(ひかげのかずら)卯杖(うづえ)に餝(かざる)故實(こじつ)の事が伝承されています。日本の国と、天皇皇后様及び皇太子様の安泰を願い、世界平和の願いを託して、床飾りとして新年を言祝ぐ卯杖を掛け、縁をのばす・命をのばす・慶びをのばすなどめでたい物の象徴として「長熨斗(のしあわび)」を三宝に飾ります。

花材 柳の杖 ヒカゲカズラ 藪柑子 楮(こうぞ) ほか

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