いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

東博「神護寺」展

高雄曼荼羅を拝見できたのはこれで2度目、貴重な機会でした。紫綾地に金銀泥で描かれた縦横4メートルもの両部界曼荼羅の内、後期展示は金剛界曼荼羅。そして、ご本尊の薬師三尊をあらゆる角度から拝ませていただきました。
東博 平成館2階を埋めつくす書物、絵、仏像、等の中で1箇所この場所だけは写真撮影OKとのこと。神護寺の楼門におわすニ天王。

和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~

文化財を舞台に表現する空間アート
和のあかり×百段階段2024
~妖美なおとぎばなし~
が、東京の目黒雅叙園で2ヶ月半の間開催されており、「草丘の間」は「鯉の滝登り」がテーマでした。一葉式いけ花家元 粕谷尚弘先生が出品されていて凄い迫力です。草丘の間の釣り電灯も作品に取り込まれ、見る角度によって、滝を登る勢いの鯉の両眼に感じられて圧巻!

未生流中山文甫会 会長 中山高甫先生の二人展

9月2日。神戸三宮の、さんちかホールで開催された、いけばなと写真の二人展を拝見しました。
未生流中山文甫会会長中山高甫先生、写真家の森井禎紹先生が、2023年に兵庫県文化賞を受賞されたことによる記念コラボ展との事でした。
コラボ作品のいくつかを写真に撮らせていただきました、祭りをテーマにされた写真、そのテーマに見事に合ういけばな。息のあった作品に心がときめきました。

https://www.hyogo-photo.com/news/notice/20240829.html

花器「Profile」

8月26日。嵯峨御流華道総司所「ものづくり講座」(講師:嵯峨美術大学の楠林 拓先生)を受講して、楠林先生デザインの型にジェスモナイトを流し込み製作した掛花器。
この器に「Profile」と銘を付けて愛用している。

8月25日。常寂光寺様にて

常寂光寺様にて、父 博州の十三回忌を偲ぶ親しい方々との心温まる集まりに際し、皆様と語らいながら宴席で花をいける。
左。「一枯一栄」をテーマに、父が愛していた染付網目大皿には蓮、葉皿に枯れ蓮と芽のついている蓮根。
中。父が好んでよくいけた鶏頭を中心に秋草と種々、実付き七竈の紅葉、顔面土器に。
右。紫苑の生花。内に鯉の絵付アンティーク鉢
紫苑は思い草である故に。
書院から見えるお庭は別世界のような美しさ。

8月20日。大覚寺 宵弘法

幸い雨は降らず、19時から門跡猊下お導師のもと、観月台にて法要が行われました。ご先祖様に手を合わせながらも池の水面にゆらめく灯籠の灯りに見惚れていると池の中央の護摩壇に火が入り、みるみる大きな火焔となります、声明とお読経の響に呼吸を合わせるかのように。
やがて山の端から大きな満月が昇って行き、池にも月が映って奇跡的な美しい光景となりました。どんなにお写真と言葉でお伝えしたくとも、この響と炎の感動は伝えようがありません。

五山送り火

8月16日。日本全国でご先祖様の精霊を送る行事が行われていることでしょう。
京都は五山の送り火で精霊(おしょらいさんと地元の人は言う)を送ります。今年は知人のご厚意で、高層階のご自宅から見せていただきました、感謝です。
嵯峨からの大文字はこんなに小さく、鳥居型はかなり大きくはっきり拝むことができます。
 
私にとって、お盆は8月20日夜19時から大覚寺大沢池での宵弘法の行事で終わります。この日19時から、池で法要が行われ、池の中央の護摩壇の大きな炎を拝み、灯籠を浮かべてご先祖様をお見送りします。
 
一昨年の宵弘法の様子はこちらをご覧くださいませ。

8月8日の祇王寺

炎暑が続いておりますが、祇王寺の苔庭に一歩足を踏み入れたとたん、そこは別世界です。瑞々しい苔庭に涼風が冷んやりと肌を撫でてくれますの。
こんなとっておきの場所が嵯峨野にはあることを、皆様に改めてご紹介したいと思います。

8月6日にひろしまで花をいける 「国境の無い花たち展」

コロナの間はインターネットで発信されていましたが、四年ぶりに広島の神屋町シャレオ中央広場での開催となった「国境の無い花たち展」。今年も出瓶させていただきました。
いけばなインターナショナル広島支部と、国境の無い花たち展実行委員会によるこの催しは、ジャンル・年齢・所属を超えて「平和を願う」というテーマのもと参加した人々のいけばな作品を展示される1日限りの花展です。
花に平和と友好の気持ちを託し、一つ一つの花をいけながら一心に平和を願う、尊い時でございました。
 
わたくしの作品は糸芭蕉と美人蕉の生花です。沢山の出品者の中、嵯峨御流の方々の作品を併せてご紹介します。

7月28日。Summer College☆2024

華道総司所主催、華道芸術学院で開催された今年のSummer College☆は「シン・日本をいける」のテーマで、基調講演に環境共生学博士白砂伸夫先生をお迎えして「環境といけばな」のご講演をいただきました。白砂先生は、気候危機といえる現代の環境問題の深刻さと、地球という奇跡の星の近未来を救うのはいけばな、特に景色いけの発想であるという大変興味深いお話しでした。嵯峨御流の景色いけは、他にはない嵯峨御流独特の花態で、山から海まで連続した水の流れが生み出す自然の風景を特徴ある7つの水の取り方に分けて、美しくいけるのみならず根底には命 水すなわち命は連続した系の中でいきいきと存在するという発想が特徴です。
 
いけばなデモンストレーションは小題を「清風在竹林」として大覚寺大沢池の風景を景色いけの型に見立てて、ご覧いただきました。大覚寺竹林の竹を舞台全面に配し、向かって右には竹林の野辺の景、向かって左には蓮と睡蓮で沼沢の景。
舞台の大きな景色いけを見ていただいた後は、この度復刻して販売される、極小さなミニチュアの七宝一組を用いて、可愛い水草や野の草花を食器やお皿を花器に見たてて、小さくてお部屋にもおける景色いけをご紹介しました。
 
実技では、嵯峨御流伝書の初伝と中伝にも出てくる、嵯峨好「夢窓」の竹器を想い入れながら、大覚寺竹林の竹を用いて、各々ノコギリとノミで窓を穿つ実習をしました。
出来上がった自分の竹器に、各自風情よく5種類の秋草をいけて、とても楽しそうに実習されていました。
 
年に一度、総司所が総力あげて全国からの受講生をむかえて行われるこの企画、今回基調講演を含めての「シン・日本をいける」は、令和8年に大覚寺寺号勅許1150年を迎えるにあたり、華道事業として令和8年4月に行われる大華道展「シン・日本をいける」開催に向かっての示唆的内容となりました。
 
 

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