いけばな嵯峨御流

2020阪急百貨店ショーウインドー迎春花が展示中です。

嵯峨通信

現在、辻󠄀井ミカ華務長と大阪地区連絡協議会の約100名の先生方により挿花された作品が阪急百貨店うめだ本店コンコースウィンドウ7面に飾られています。お近くにお立ち寄りの際は是非、ご高覧くださいませ。

新年は1月13日(月)まで展示されております。

以下、辻󠄀井ミカ華務長による、作品の解説と迎春花への思いです。是非、ご一読ください。

 

1号ウィンドウ「子」

新しいサイクルのはじまり

子は十二支のはじまり。“ねずみ算”という言葉があるように、ねずみは子孫繁栄の象徴とされている。「古事記」では、大国主命を守ったことから大黒天のお使いでもある。子孫繁栄・五穀豊穣を願い、「命の根」を語源とする稲と、米俵を中央の丸三宝に飾り、子年を寿ぐ。左右の丸三宝には、多く実を結び、縁起の良い万年青と南天をいける。

万年青は家が万年栄えるといわれ子孫繁栄の象徴。南天は、語音が「難転:難を転じて福となすの意」であることが縁起良いとされている。

花材:稲・米俵・万年青・紅白南天 ほか

 

2号ウィンドウ「風神雷神」

自然の恵みをもたらす二神

風袋かぜぶくろから風を吹き出す風神と、雷太鼓を叩いて雷鳴と稲妻をおこす雷神を一対として扱う像は、古くから仏教美術においてみられ、 敦煌石窟とんこうせっくつの壁画などにも描かれている。日本では、力士の姿で描かれ、俵屋宗達の風神雷神図は国宝である。オリンピック・パラリンピックの記念硬貨の図柄ともなっている。二神の強烈な活動力の勢いをウィンドウで表現したい。

花材:(風神)翁杉・コウモリラン・セローム・タビビトノキの花・多肉植物 ほか

   (雷神)落羽松らくうしょうの根・南方竹の根・ほか

 

3号ウィンドウ「令和」

桐 竹 鳳凰(梅で表現)

「令和」は万葉集、梅の花の和歌からの出典であることから、梅を用いて華麗に舞う鳳凰を表現する。

『詩経』に「鳳凰は梧桐にあらざれば栖まず、竹実にあらざれば食わず」とあり、

古来中国では、聖天子(徳のある優れた王)が即位すると、瑞兆(めでたい印)である鳳凰が現れると伝えられる。鳳凰は、霊泉れいせん醴泉れいせん:甘い泉の水)だけを飲み、60年から120年に一度だけ実を結ぶという竹の実のみを食物とし、梧桐あおぎりの木に棲むという。また、「竹の園生そのう」は皇室の別称でもある。

日本では平安時代以後 この模様は,天皇の御服である黄櫨染こうろぜんほう に麒麟文を組合せて表現されている。

花材:梅・桐・竹

 

4号ウィンドウ「瑞雲」

神輿みこし

天が善政に感じてくだすめでたいしるしを瑞兆といい、御輿に乗られた天子が、たなびく瑞雲に乗って降臨するイメージを表現した。

花材:シンパク(生のものと金着色のもの)・這いビャクシン・蛇の目松・金着色垂桑・葉牡丹・おたふく南天・ラン など

 

5号ウィンドウ「祝緒ときお

オリンピック

日本で開催されるオリンピックを記念して、シンボルである五輪の色と形、そしてメダルを扇の形で表現した。

題の祝緒ときおという造語には、めでたい緒という意味と、Tokyoの響きを込めている。

花材 赤:レッドウィロー・サンゴミズキ・グロリオサ 

黄:黄金ミズキ・オンシジウム・ツルウメモドキ

青:ミツマタ 

緑:枝若松・お菊の松 

黑:ヘゴ

 

6号ウィンドウ「望」

生きとし生けるものを構成する6つの要素。地水火風空識

令和になって初めての新年御歌会始めの御題は「望」。今上天皇陛下は水運に造詣が深い方であられることもあり、広々とした大海原に前途洋洋と向かう船を花器で象り、希望に満ちあふれた晴れやかな新時代へと漕ぎ出すという意味を込めた。作品は、嵯峨御流荘厳華しょうごんかの分体形式で、生きとしいけるものを構成する、森羅万象の働き(地・水・火・風・空)に心の働き(識)をくわえた「六大」で構成されている。

希望をやまとことばで言うと「のぞみ」となり、新幹線のぞみの名も希望に由来するという。

花材 五葉松・アナナス・ネオレゲリア・ユッカ・椿 ほか

 

7号ウィンドウ「七福」

七福神

7人の福の神。宝船に乗る七福神を、それぞれの持ち物で象徴的に描く。

弁財天 楽器の琵琶、枇杷の木、百合 

毘沙門天 兜に見立てた瑠璃水滴釉の鉢・武器に見立てたサンスベリア など

恵比寿 鯛・寒竹・葉牡丹 

大黒天 桜島大根・冬瓜・獅子柚・カボチャ・米俵 など

布袋  大袋花器・サボテン など

寿老人 団扇に見立てたビンロウジュの葉・鹿のツノ・チランジア など

福禄寿 長い頭に見立てた瓢箪・長いあごひげに見立てたサルオガセモドキ・枝垂松

 

迎春花への想い

令和初の新年を迎えました。一年の幸先良い船出をことほぎ、洋々と広がる海を越えて世界が一つになって、日本と世界の人々が互いに理解し助け合い平和な世の中になりますように。歌会始の御題「望」に因んで、新時代が明るい希望に満ちたものとなりますよう祈りを込めて挿花しました。

ウィンドウのいけばなが、皆様の心に明るい灯をお届けできたなら、この上ない幸せでございます。

向かって右端1号ウィンドウから、順に左端7号ウィンドウへと巡っていただけるよう、それぞれ数字の1~7を表現の中に思い入れました。

 

1号ウィンドウ「子」・・・・・・・一・新しいサイクルのはじまり。

2号ウィンドウ「風神雷神」・・・・二・自然の恵みをもたらす二神

3号ウィンドウ「令和」・・・・・・三・桐 竹 鳳凰(梅で表現)三種の花材で皇室を象徴する。

4号ウィンドウ「瑞雲」・・・・・・四・神輿みこしの四方の形

5号ウィンドウ「祝緒ときお」・・・・・・五・オリンピック

6号ウィンドウ「望」 ・・・・・・六・六大(宇宙を構成する地水火風空識)

7号ウィンドウ「七福」・・・・・・七・七福神

 

いけばな嵯峨御流 華務長 辻󠄀井ミカ

 

また、今回の作品写真の高画質版を嵯峨御流のFacebookとTwitterに掲載しておりますのでそちらも、是非ご覧ください。

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