いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

9月24日(土)JICA研修。6か国からこられた研修員の方に、いけばな景色いけを体験していただきました。

JICA研修で6カ国から6名の研修員の方に、伝統文化 華道、茶道の体験をしていただきました。6名の方々は、主に観光や資源管理、またツーリズムに関わる行政の方です。

午前はいけばな。私が講師を務め、景色いけ七景をデモンストレーションで説明しました。

レクチャー内容は、概ね次の通りです。

嵯峨御流の「景色いけ七景」は、山から海までの風景を、「連続した水の流れにより生まれるもの」という考えのもと、水の流れにそって生まれる7つの風景を水の取り方にわけて表現しています。水の連続性が生み出す自然風景に加え、さらに人が関わりを持つことから生まれる美しい風景は、その風景と接するたびに、私たちにそのいずれもが人にとって日々における勇気と元気の源となるエネルギーを与えてくれます。「景色いけ七景」は、そんな風景を花で表現し、見る人に自然を愛おしく思う心を育む役割を担っているものだと思うのです。今回JICA研修にこられた方々に、いけばなで、人の心に自然を慈しむ心を育てる事が環境保全の考えに繋がるのではないでしょうか、とお話しさせて頂きました。

ワークショップでは、野辺の風景を連想しながら、薄、女郎花、鶏頭、竜胆、撫子、日陰蔓を、いけて頂きました。

午後の茶道体験は、母 辻井宗けいが亭主となって、薄茶一服召し上がっていただきました。なにしろ、我が家は築120年なので、田舎家ですが、和の雰囲気は味わって頂けたと思います。お茶は、美味しく頂くため、また亭主が客をもてなすために、しつらえにも書や様々な工芸品を用いて、趣向を凝らします。日本の風土、豊かな自然、美味しくてきれいな水が豊富にあるからこそ生まれた文化といえます。

皆様、熱心に話を聞かれ、作法に従ってお薄を召し上がった後、今度は各自がお茶をたて、自分がたてたお茶に舌鼓をうっておられました。自然の中でお茶を楽しむ事も出来ますよ、と母が籐の茶箱を持ち出し、中に仕組まれた小さなお茶碗や建水、茶杓などをお見せしますと、皆様一層興味津々。自然を愛でる楽しみを花とお茶で味わって頂いた一日でした。

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右端の男性は、NHKのプロジェクトXにも出演したことがある釧路国際ウェットランドセンター主幹 新庄久志/氏。jICA研修のコースリーダーで、約1か月半の行程すべてにおいて、皆様を引率指導されます。

 
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9月17日・18日。日本いけばな懇話会主催 京都花会 「秋草をいける」に出瓶しました。

京都建仁寺 塔頭 西来院において、9月17日・18日の両日、日本いけばな懇話会が主催する京都花会「秋草をいける」に出瓶致しました。この度の華展は、秋の草木に想いを深め、未来に向かってのいけばなを提案する、という趣旨で開催されました。今回の出品者は、36名。皆、家元や家元嗣の方々ばかりです。

私の作品は、伊藤若冲の動植綵絵の群鶏図をイメージして、大鶏頭・葉鶏頭を鶏の頭や尾 に見立て、縦長の空間を、床の間の掛け軸のようにとらえていけました。

器は、行器(ほかい)です。ほかいの語源は、祝う(ほかう)の名詞形で、元々は神仏に食物を捧げることを意味したとの事。野遊びの際、食物をいれて運んだ、この行器は、この西来院のお寺の風格ある空間にふさわしいと思いました。嵯峨御流からは、岡田芳和先生も出瓶され、私が撮らせていただいた岡田先生の作品写真を、併せてご紹介いたします。

日本いけばな懇話会は、いけばなの普及につとめること、そして会員相互の研修も目的の一つです。いけこみ日の夕刻から、会員相互の研鑚の為、有識者を交えての座談会が行われました。

テーマは、「今日のいけばな、明日へのいけばな」

・なぜ花をいけるのか

・型について

・瞬間芸術としてのいけばな

・受けとること、伝えること

グループにわかれての分科会は、大変興味深いもので、皆未来のいけばなについて真剣に語り合えた一時でした。

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京都市副市長、藤田裕之様がお越しくださり、親しくお話をさせて頂く事ができて、大変光栄でした

 
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岡田芳和先生

 

龍村織物と嵯峨御流のコラボレーション。9月14日から19日まで高島屋横浜店で開催されました。

高島屋横浜店でのコラボレーションは、嵯峨御流関東地区連絡協議会の先生方が、挿花を担当して下さいました。初日の9月14日には、門跡猊下が御巡覧なさり、内局は草津部長様がご一緒されました。私は残念ながら、拝見に伺えませんでしたが、織物を引き立てるように配慮して、いろどりも緑を基調に控えめにいけて下さったとの事。華道課が撮ってきてくださいましたお写真で、ご紹介致します。

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日本いけばな芸術北海道展 後期の作品をご紹介します

9月8日から13日まで、札幌市内の東急百貨店で開催された、日本いけばな芸術北海道展。

後期は伺えませんでしたが、嵯峨御流後期出瓶3名(有馬実佐甫、大野正峰、小池浩甫)の先生方の作品写真を送って頂き増したので、ご紹介いたします。

 

嵯峨御流は、全国に109の司所があり、日本全国で嵯峨御流の先生方が、活躍して下さっています。北海道にも北海道司所という、しっかりとした拠点があり、今回の日本いけばな芸術北海道展に7名もの方が力作を出瓶して下さいました事を、とても誇らしく思います。

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有馬実佐甫

 
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大野正峰

 
 
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小池浩甫

 

9月17日。龍村平蔵社長様とのトークショー

高島屋大阪店7階催場での、龍村織物と嵯峨御流のコラボレーション。豪華な錦の織物や復元された貴重な古代裂名物裂には、一つ一つにストーリーがあります。

 

さて、9月17日には、四代平蔵社長襲名10周年記念特別企画として、龍村平蔵社長様との約45分間のトークショーが行われました。その中で、20分間デモンストレーションをさせて頂きました。私は、心からの祝意を込めて、文人華「鳳瑞平安」をいけました。この題意は、君子が出現するとき、鳳凰が現れ、梧桐に棲み、竹の実を食べ、醴泉の水を飲むという中国の故事によるものです。鳳凰が棲むという桐、「平安」の異名を持つ竹、そして薔薇の花を添えました。薔薇の異名は「長春」、繁栄が長く続くとの意をこめて。色は、君子の色である黄色を選びました。竹は、金明孟宗竹のイメージで作られた「竹庭錦」に因み、金明竹を使いました。

 

もう一作は、名物裂「大鶏頭金蘭」に因み、手付き籠花器に、葉鶏頭、鶏頭、薄。

 

いけ上がった作品を見て頂きながらの、平蔵社長様とのトークショーでは、とっても大勢のお客様がお見えになられ、ご用意の椅子はすぐに満席となり、沢山の方々が立ってご覧頂く事になりました。社長様から大鶏頭金蘭の解説などを伺えて、時間はあっという間に過ぎ、皆様からは、もっともっと、社長様のお話を伺いたかったとの声しきりでした。

 

龍村織物HPにも掲載されています。

 http://blog.livedoor.jp/tbo3251/archives/52146279.html?utm_source=20160920-fb-10thtalk&utm_medium=20160920-fb-10thtalk&utm_term=20160920-fb-10thtalk&utm_content=20160920-fb-10thtalk&utm_campaign=20160920-fb-10thtalk

  
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龍村美術織物展 ~嵯峨御流競演「花・織・美」~高島屋大阪店と、高島屋横浜展で、始まりました!

9月14日から19日まで横浜で。

9月15日から20日まで大阪なんばで。

龍村美術織物様と嵯峨御流のコラボレーションが始まりました。

 

9月15日に、門跡猊下、内局様とご一緒させていただき、大阪なんば高島屋7階催会場を拝見しました。

挿花は阪南和歌山地区連絡協議会が担当して下さり、御所車、花衣桁、龍頭鷁首、また、会場入口真正面には、4代平蔵社長が考案された「竹庭錦」の帯の両脇に、庭湖の景と十二律管が飾られています。丁度、今日は仲秋の名月。旧嵯峨御所大覚寺では観月の夕べが開催される日でもあり、庭湖の景に満月が映り込んでいるかのようにも思えて風流でした。

 

龍村織物の中でも、高島屋ブランドの龍村錦帯は、絢爛豪華なシリーズです。

高島屋さん、ならではの華やかな帯とタペストリーと、嵯峨の花の出会い、皆様もきっとお楽しみ頂けると思います。

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JR嵯峨嵐山駅。改札脇に、嵯峨御流のいけばながいつも飾られています。

JR嵯峨嵐山駅の改札脇に、嵯峨御流のいけばなが飾られています。

京都嵯峨芸術大学の華道授業履修生がいけ、休暇中は担当講師の先生方がいけて下さっています。7月~9月の作品を、前を通るたびに撮影しましたので、ご紹介致します。

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平成28年9月11日 華道総司所「初心者対象講座」~わかりやすいいけばな~のご報告

9月11日、京都はまだまだ残暑厳しい中、2回目の開催となる今回も定員一杯の50名の受講生の方々と、お付き添いの親先生方が華道芸術学院にお越しくださいました。

 

まず、大覚寺の寺内拝観です。僧侶の方から、旧嵯峨御所の歴史をわかりやすく楽しく解説して頂きながら境内をまわります。大沢池については私がお話をさせていただきました。「庭湖」といわれる大沢池は、現存最古の林泉で、華道嵯峨御流の原点です。平安時代、嵯峨天皇様が菊花にこめられた自然への想いと、命の尊さ、平和を願う心が、私ども嵯峨御流の始まりです。この場所で、実際に嵯峨天皇様と空海様がお話しになった 大沢池を実際に見て感じて、心に焼き付けて頂きたかったからです。

拝観終了後、教室に戻ってデモンストレーションを3作見て頂きました。

「庭湖の景」今見てきたばかりの大沢池の風景。日本現存最古の林泉として名勝指定されている場所で、1200年ずっと変わらずここにある風景です。

「生花 錦生け」秋の花々を9種とりあわせて、華やかな錦織のように。この花で、秋の風を感じて頂きたいという想いでいけました。「朝鮮槇の生花」午後の実技でいけるイメージをつかんで頂けますように。

 

昼食は、寺内の食堂で「お饂飩」を召しあがっていただきました。毎月1のつく日は写経日で、お写経に来られ方々に振舞われるものです。こうした体験を通じて、華道総司所が大覚寺の中にあり、日常的に僧侶の方や修行中の伝灯学院生の皆様とすぐ近くで接する場だということが感じでいただけると思います。いけばなだけでなく、日本の伝統文化の原点に触れる機会でもあります。

 

午後、全員の実技は朝鮮槇の生花です。私と、田中喜久甫いけばな文化綜合研究所所長、枡中柚紀甫主任教授が担当致しました。寸渡に配り木をかけるところからの実習で、一つ一つの行程を説明しながら 皆で同時にいけていきました。受講生の方々は、大変熱心に講義を聞かれ、最後まで集中力を欠く事なく真摯に学ばれました。その姿に、私共のほうが心を打たれました。全員が生花をしっかりといけあげられ、目を輝かせて楽しかったですと仰った姿をとても嬉しく感じました。

 

皆様には、これからも親先生のもとで大いに学び、楽しみ、次は自分が人にその喜びを伝える指導者を目指してほしいと思いました。

今日の授業に付き添い、一日見守って下さった親先生方にも、心から感謝申し上げます。

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JALの機内誌に「大覚寺 観月の夕べ」が紹介されています。

9月8日。北海道からの帰り、ふと手に取ったJAL機内誌に、大覚寺観月の夕べが紹介されていました。
今年は、9月15日(木)から17日(土)まで。15日は、仲秋となります。
元、嵯峨天皇の離宮「嵯峨院」大覚寺のお月見は、月を見上げるのではなく、大沢池に映った月を龍頭鷁首の船や観月台から見下ろす、という風流なもの。秋の嵯峨野へ、いらしてください。

 

日時: 平成28年9月15日(木・中秋)~9月17日(土)
17時から21時まで。
詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.daikakuji.or.jp/event_season_autumn/#season_05

 

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「嵯峨御流いけばな公開講座」。ファイナルは北海道で。

3年間かけて、全国17の地区連絡協議会で開催していただいた「嵯峨御流いけばな公開講座『華やかな平安文化の薫りをいける』」は、いよいよ次は最終回を迎え、北海道地区連絡協議会が主催して下さいます。

平成29年2月26日(日)、会場は北海道立近代美術館です。今までのすべての公開講座で私は「いけばなで美しい地球を守る」というテーマの講演をしてまいりましたが、来年2月はその集大成の機会でもあると考えています。

景色いけを通じて、一般の方々や若い人達にも、華道芸術と環境問題の接点を見出していただけると思います。広大な北海道のスケール感を表現できれば、と考えています、

 

9月7日、北海道司所の先生にご案内頂き、近代美術館を、服部孝月華道企画推進室長と一緒に下見に伺いました。風格ある建物の中にある劇場が会場となります。公開講座が行われる日には、札幌出身の画家 片岡球子展が開催されるようです。

 

皆様も、冬の北海道旅行を兼ねて、公開講座に参加なさいませんか?

 

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