いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

7月17日。祇王寺の苔庭の美景。

平家物語に出てくる、平清盛と白拍子祇王祇女の悲恋の物語を今に伝える祇王寺は、ご縁により現在は旧嵯峨御所大覚寺の塔頭となっています。
華道総司所会員の方は会員書のご提示で年中何度でも拝観させていただけます。
ぜひ青紅葉と苔庭を堪能ならさりに、祇王寺へお運びくださいませ。

7月16日「蓮始開」の侯

7月12日から16日まで、七十二侯は「蓮始開(はすはじめてひらく)」の季節になります。
大覚寺大沢池固有の古代蓮「名古曽」が、小島菊ヶ島のあたりで咲き始めました。1200年余りの時を経ていまなおその姿をとどめる、日本現存最古の庭園池「大沢池 銘『庭湖』」のおおらかな池面に揺れる姿は、格別の趣があります。

あやかれや 長刀鉾の 籤(くじ)とらず

コロナのため、京都の祇園祭に今年は山鉾を立てないという事が決まりました。わたくしも、子供の頃から夏には街なかへ出て、「コンチキチン」のお囃子の音と山鉾、そして各家々の美しい屏風や檜扇の花を拝見するのが7月14日〜16日宵山の楽しみでありました。今年は山鉾の姿は見えなくとも、疫病退散を祈る神事は7月いっぱい執り行われますし、また各家々で厄除の願いを込めて檜扇の花が飾られることと思います。

我家の玄関にも、頂戴した真新しい粽をかけさせていただき、床の間に表千家即中斎宗匠賛の長刀鉾の扇と檜扇を飾り、祭月のしつらえが整いました。
扇の賛は「あやかれや 長刀鉾の籤とらず」と書かれています。
山鉾巡行の順番は、籤引できまりますが、くじを引かなくてもあらかじめ順番が決まっている山鉾を「籤とらず」といい、長刀鉾は全ての鉾の先頭に決められているのですね。

月刊「嵯峨」2013年7月号の「いけばな講座」から、檜扇の作品を転載しました。皆様もご参考になさって、夏ならでは、そして厄除の願いを込めて檜扇を飾られてはいかがでしょう。

7月半夏生の候。大覚寺 大沢池

古代蓮「名古曽」の立ち葉が沢山出ていますので、花ももうすぐあらわれることでしょう。
大覚寺大沢池は、嵯峨天皇のお庭として作庭された、日本現存最古の庭園池です。広々した水面をふきわたる風が、荷葉を揺らしています。

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