今月、特にお盆から昨日まで、日本各地で大きな被害や不安をもたらした記録的豪雨で、京都も昨日までは大雨続きでしたが、8月20日はようやくお日様を拝むことができました。この日18時から、恒例の「宵弘法」が執り行われました。コロナの緊急事態宣言下やむなく宵弘法へのご参拝は中止とされ、祭壇などすべてのご準備を整えられた大沢池畔において、職員の方だけが見守られる中、朗々とした声明・厳かなお読経の声が響きました。
空が薄暮の色へとうつろう頃、静かな水面に映る「嵯峨の送り火」とともに精霊をお見送り。
寂しくも美しい景色。
コロナ禍を何とか乗り越えるためには、自分の身と他の人の身を共に守る行動をとらなくてはなりません。今は人の往来を止めて、感染拡大を抑えることを第一に考えましょう。
さて、8月20日から9月12日まで、京都にも緊急事態宣言が出ましたのでこの期間の総司所諸行事を中止または縮小、Summer college☆も中止となりました。
Summer college。嵯峨御流の総司所会員の方はもとより、会員以外の方もご参加いただける、年に一度の企画で、既に様々な準備が進んでいました。テーマ「かみとはすのものがたり」に込められたストーリーは、紙=神に通じる事から、世界的に著名な和紙作家堀木エリ子様のお話に始まり、蓮をいけるいけばなデモンストレーションで仏の世界を表現。デモの最後の一瓶で神仏融合の世界を表現しようと考えていました。
皆様に、此の企画の世界観に浸っていただき、楽しんでいただけることを、と想いながら、華道諸先生方や職員の方々が、汗と情熱をかけて様々な準備に奔走して下さいました。紙の原料であるミツマタ・コウゾを、生産者の元まで足を運んで入手し、大量のそれらを川で晒してアク抜きし、植物が紙=神へと変貌する大作オブジェ製作の段取り、また紙漉きのキットのワークショップのシミュレーション、蓮の種の袋詰め、などなど。。。
今回は残念でしたが、仕切り直して、このたびご縁をいただいた堀木エリ子様のお話を伺う機会を作りたいと思っています。
妙蓮。この不思議な蓮の花は、雄しべも雌しべもなく花弁だけでてきています。滋賀県守山市に、室町時代から600年もの間大切にされている蓮。
蕾は見かけは普通の蓮と同じですが、開花すると次第に花弁の数が増えて2000枚から8000枚を越すものさえあるとのこと。双頭蓮ともいわれて、1茎2花から12花まであるそうです。
しかも、普通の蓮は4日間で咲き終わりますが、妙蓮の花は少しは花びらを落とすものの、2週間から20日間咲き続けて数千枚の花びらを散らさず茎についたままで枯れる、という不思議な蓮です。
妙蓮は、珍しいという事と、瑞兆であると喜ばれ、室町時代から将軍家へ、また将軍家を通じて天皇家に献上されてきたと、資料館の文献に書かれていました。東福門院の庭にも植えられたとの記述も拝見し、ご一緒した喜和田龍光財務部長様が、「大覚寺にもご縁のある蓮なのですね」とお話しになられていました。
8月大暑の候。大覚寺五大堂で写仏をさせていただきました。
わたくしは時折り、大覚寺 五大堂で写仏をさせて頂いています。一本の線をスッとひくのはたいそう集中力のいる事です。でも、写し終えると心が爽やかな気持ちに満たされます。
今日は阿弥陀如来様の写仏をしました。いつもながら下手なのですが、ある方の病気平癒を願って誠心誠意でお姿をなぞり、お供えさせていただきました。
華道総司所は8月16日まで夏季休暇となります。8月28日にはSummer college「かみとはすのものがたり」を開催しますので、ご参加の皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております。
猛暑のみぎり、皆様がお健やかにお過ごしくださいますことを念じております。