いけばな嵯峨御流

3月24日(土).25日(日)大覚寺。 夜のイベント「嵯峨の月光(つきあかり)と さくら」が催されます。

 

大覚寺ウオータースクリーン プロジェクション「嵯峨の月光とさくら」がいよいよ3月24日・25日の両日、午後6時から8時30分まで、夜の大沢池 で上演されます。

23日18時に、記者会見とお披露目会が行われ、門川大作京都市長、伊勢俊雄大覚寺執行長、竹原善生大覚寺部長、渡辺好章同志社大学教授、華道嵯峨御流華務長のご挨拶につづき、草笛光子様のナレーションで約10分間の映像が映し出されました。

平安時代から、今も現存する最古の庭池に於いて巨大な水のスクリーンに投影された光のアート。そこに表現されていたのは、嵯峨天皇と空海のお二人が、命の尊さと平和を祈る心の表現でした。嵯峨天皇が空海のお勧めにより、自ら人々の苦しみを救うために書かれた写経と、花に託された祈りの心が、命の根源である水をスクリーンにした幕に美しい映像となって物語が繰り広げられるのです。

スクリーンには、一足早い桜が溢れるように満々と咲き、1200年前から変わらない池の水面に、斬新なアートが見事に融合する、感動の時でした。
私の心の中には、瑞々しい感動が広がり、力が湧いてきました。自然を愛し、人に寄り添う心を表現すること。これが私がいけばなで伝え続けていきたいことだと、改めて心に湧き上がるものがありました。

昨今の様々な災害、特に近年の東日本大震災で今なお苦しむ方の苦悩を思うと、胸を締め付けられます。少しでも早く、少しづつでも立ち直ってほしい、その気持ちは私共も同じです。嵯峨天皇が人々に寄り添い、祈る気持ちが人々に力をもたらしたように、大覚寺では昨年12月に「ふくしまサクラモリプロジェクト」により福島の桜を大覚寺に移植され、福島の復興にむけて、毎年この桜の開花と共に未来もずっと一緒に福島を思い続ける、という意思を示されました。
嵯峨天皇は、花宴と呼ばれるお花見をされた初めの方でもいらっしゃいました。
深いご縁を感じます。。。

この企画は「嵯峨天皇宸翰勅封般若心経1200年戊戌開封法会・春」、そして「いけばな嵯峨御流創流1200年」の記念事業でもあります。

今年の10月・11月の二ヶ月間、勅封般若心経は60年に一度のご開封の歳にあたり大覚寺の中で公開されています。その期間中の10月12日から14日までの3日間、いけばな嵯峨御流華道祭がお寺の中で開催されます(10時から16時)ので、秋の嵯峨野へお運び頂けましたら大変嬉しく存じます。花は人と共にあり、心を慰め、時に勇気をもたらしてくれるもの。嵯峨天皇が平安の御代、庭の菊を手折られいけられたところ、自然の姿に天地人の調和が備わっていたことに感動され、「爾今花を賞づる者はよろしく之を以って範とすべし」と仰せになられた事が伝えられています。天皇の広い御心を伝えていくために多くの華道家が流派を超越して集い、その集まりがやがて川となり大河の流れになって今に至る嵯峨御流は、これからの未来、人も自然も縁を結んで絆を大切にする事で強く明るく開かれていくという事を花に託して、新花「花がさね」を発表しました。
花も人も、信念を大切に、思想を守り、周りの環境に合わせて変化しつづけ進化しつづけていく事の積み重ねが伝統を生むのだと思っております。

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