いけばな嵯峨御流

5月26日。嵯峨御流大田司所創立40周年記念華展を拝見しました。

島根県大田市の大田市民会館中ホールで、5月26日・27日に開催された華展を拝見しました。

 

特に、会場の多くの部分を割いて展示されていた、「景色いけ・七景」は、水の循環により綿々と続いている大自然の生態系の特徴的な景色をいけばなで表現するものです。深山を源として発する水が森林を育て、野辺を潤し、池や湿地にとどまり新しい命を発生させ、やがて河川となり豊かな水量となって大海に流れ込むまでの特色ある風景を、深山の景、森林の景、野辺の景、池水の景、沼沢の景、河川の景、海浜の景、の七つに見立てて水盤にいけ表します。

実際にいける過程においては、特に水の流れが織りなす動的な姿を重視し、「水の取り方」に重点を置いて景色いけが出来上がっていきます。
大田司所の所在する豊かな自然の中で、会員の皆様が実際に目で見て感じた、愛着のある風景を再現されているのがよく伝わってきました。

もちろん、景色いけ以外にも、嵯峨御流の古典の伝承花から色彩豊かな現代花まで、会員の力作が展示されていました。

 

4月9日に起こった島根県西部地震で最大震度5を観測したのは大田市でした。今この時期に華展を開催することに司所長は懸念されていましたが、会員の意思で開催することができたという事です。

私は、開場間も無く、ご近所の方々が男性も女性も大勢ご来場され、楽しげに花を見ておられる様子に接して、いけばなは心に光をもたらしてくれるのだと痛感いたしました。

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