いけばな嵯峨御流

6月21日。大正大学 仏教学基礎コースでの授業を担当しました

講演テーマは「いけばなで自然と生命の大切さを学ぶ」です。対面授業の学生と、リモート受講の学生が半々だったこの日の授業の教室は、昨年11月に落慶された、地上4階建ての美しい新礼拝堂でした。
100分の講義の中で、弘法大師の曼荼羅の思想と、嵯峨天皇がこよなく愛した自然観を基層としている「いけばな嵯峨御流」の花態の一つである「景色いけ」を紹介しました。命の源である深山から生まれた水が、滞りなく流れ続ける。その水の流れが、生き物同士が命を支え合っている姿の多様な自然風景。「景色いけ」では、その自然風景の中に生まれる命の営みを植物に託していけ表すことを学びます。ひいては、いけばなは、自然を慈しみ尊ぶ心を育て、持続的な世界をめざすSDG’sに貢献できる一つの方法だとお話ししました。そして、嵯峨御流が2007年以来取り組んでいる美しい地球、日本、世界を守る「華道家行動宣言—自然環境保護の心を育む運動—」をご紹介しました。
嵯峨天皇の自然観と空海の曼荼羅の生命思想は、1200年ずっと嵯峨御流の全ての花態の基礎となって流れています。コロナ禍の今だからこそ一層、一輪の花からでも伝わってくる、いけばなの大きな意義を感じた次第です。

いつも、わたくしの講演の中では、いけばなを数作品、実演させていただいています。この日も、景色いけ「深山の景」「沼沢の景」、荘厳華(「そわか」の器を用いて)、瓶花、盛花をご覧いただきました。

写真の向かって右から二人目の方は、米澤嘉康准教授です。

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