いけばな嵯峨御流

10月3日。「初心者対象講座〜わかりやすいいけばな〜」を担当して感じたこと。

この講座には、毎年、入門から奥伝までの方々が、友人同士で、あるいは親先生に伴われて、全国からお見えになります。午前中は華道総司所のある大覚寺の境内を、僧侶の方のご説明を聞きながら拝観し、大沢池で嵯峨天皇が実際に空海と語り合われた場に立って、嵯峨御流の原点でもある風景を愛でます。
その後教室へ戻り、生花のデモンストレーションのあと、全員で食堂(じきどう)へ。食堂は、通常拝観者は入れない場所で、職員や僧侶の方々に混じって、お花の講師、研究生、皆同じ場所でお食事させていただけるところです。総司所の内側を見学し体験していただく事です。
午後の実技は寸渡に朝鮮槙5本を三才格にいける実技です。生花はシンプルではありますが、花配りの張り方、枝のため方、切り口を正確に切ること、表裏の定め方など、基本を正確に実践することが大事で、いけあがれば無駄のないすらりとした姿に魅了される花態です。
解説の後、実技が始まると、全員同時進行で1本づつ一緒にいけていきました。ちょうどお仕事に見えていた、華道芸術学院学院長西村強甫先生と華道企画推進室長青野直甫先生が教室に入ってくださり、皆さんにちょっとアドバイスしてくださると、みるみる全員立派に三才格が立ち上がりました。
各々いけ上がった作品を満足そうにご覧になる表情を見ていると、私共も嬉しくなります。

この講習会では、誰一人落ち込んで帰ることのないよう、生花がいけられたという自信を持ってもらう事と、本所を身近に感じてもらいたいという思いもあるのです。これからも、やればやるほど上達していく稽古の楽しさを、親先生のもとで感じてもらいたいと思います。

今日出会った皆様が、ご自分の人生の中で嵯峨御流の花が生活を潤し、人にも教えて分かち合い、いけばなの美の世界を広げていく人に育っていただきたいと切に思いました。

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