第20回世界バラ会議福山大会2025 嵯峨御流がRoseExpoの会場エントランスに挿花しました
3年に一度世界中のバラに関する学識者が集まられ、様々なイベントが開催される世界バラ会議の中の、RoseExpoの会場エントランスに、嵯峨御流の御所車の大作「不老長春」を、福山司所の皆様と一緒に挿花しました。
「不老」を五葉松で表し、「長春」の異名を持つバラは4種類つかいました。真紅のバラ(アマダ、サムライの2種)蔓バラ(ノックアウト)、日本原産のノイバラ。
ほかに、新緑の楓や金柾木などを添えて。
このRoseExpo5月17日から19日までの3日間、愛情を込めて花材のメンテナンスしていただいたおかげで最後まで瑞々し今まご覧いただくことができました。
17日には、デザイナーズトークイベントにも出させていただき、フラワーデザイナー曽我部翔様、コーディネーターとして世界バラ会議スーパーバイザー白砂伸夫先生と作品のコンセプトなどお話しさせていただきました。
この度の私共の作品には、ノイバラも使っています。花時は出回らないので育てている方にお願いして分けてもらったものです。
私がお話ししましたのは、不老長春のテーマについて。
いけばなで、松と薔薇は、古くからおめでたいとりあわせとしてお祝いの席などによくいけられます。松と薔薇の作品の題は「不老長春」です。「不老」とはいつまでも年をとらないこと。そのことから、末永く翠(みどり)を保つ常盤木の「松」の異名になっています。
「長春」とは一年中の春を示し、また「薔薇」の異名でもあります。
この二つの異名を合わせた雅題が「不老長春」です。
日本には、古来よりノイバラやハマナスなどの原種のバラが自生していました。
「長春」の異名を持つ薔薇は、中国原産で咲く時期の長いコウシンバラで、日本に渡来して栽培されるようになりました。その後西洋から大輪の立派なバラが渡来し、これらも「長春」の異名で祝意を込めて用いています。
そして、作品に託した薔薇の街福山への想い。
福山にとってバラは、戦後復興の希望と平和への願いをバラに託して市民の手で植えられ、守り育てて今日まで育み受け継いできたものです。
また福山のバラの歴史をさらに遡れば、芦田川の中州に残されていた中世の集落遺跡(草戸千軒遺跡)で、ノイバラのトゲが発見されるなど、古くから福山の地に自生していました。ノイバラが人の暮らしのすぐそばにあって、ひとびとを守ってきた存在だったのだという想いから、原種のノイバラをどうしても使いたいと思ったのです。
御所車は平安時代に皇族や貴族が使われた乗り物であり、嵯峨天皇の時代から使われていたと考えられます。
福山の観光地としてよく知られています鞆の浦は、古くから潮待ちの港として栄え、万葉集にも詠まれています。江戸時代、「日東第一形勝」(日本で一番美しい景勝地)と賞賛された景観を鑑賞できる「対潮楼」のお寺である福禅寺は、山川龍舟門跡猊下が住職をつとめられるお寺です。
フラワーデザイナー 曽我部翔様の作品前で。曽我部様、大野耕生様と。大野様の作品は、エントランスを半円形に囲む「薔薇の壁」
福山司所の皆様と共に制作し、3日間のメンテもしていただきました。