いけばな嵯峨御流

うめだ阪急コンコースウィンドー迎春花は1月12日までです。100人で制作しました。

ウィンドーに掲げている文章です。ご覧くださいませ。
 
迎春花への想い
新しい年への願いを込めて
令和八年、情熱に満ちた丙午歳が巡ってきました。自然界のエネルギーを表す十干十二支の、「丙」は、太陽のように明るく、炎のように活発で、物事がハッキリと表れる年を意味します。そして「午」は、行動力や躍進、情熱を象徴し、一気に駆け上がっていくような勢いを持っています。この素晴らしい丙午の勢いに乗って、皆様にとって今年一年が、何事にも情熱を持って取り組み、大きく躍進できる年になりますように、心から願っています。ウィンドーを飾るいけばなには、森羅万象の根源とされる地水火風空の五大の要素をそれぞれのいけばなの中に込めて表現いたしました。この作品から、自然の力強い生命力と、あふれるエネルギーを感じていただけましたなら、とても嬉しく思います。
 
1号「七五三の伝(しめのでん)」
正月元旦、二日、三日を合わせて古来「正月三ヶ日」といい、歳の初めの最もめでたい祝日とされている。嵯峨御流伝書に、正月三ヶ日の祝儀花は、別々に各々注連の伝の若松(元旦)、竹(二日)、梅(三日)をいける、と記されている。清浄で神聖な場を示す注連縄の注連は、「七五三(しめ)」とも表される。七五三の言葉は、日本では神代の昔からあるとされ、古代の日本神話で天地開闢の後に現れた神々、すなわち天神七代、地神五代、造化三代で七五三となり、これが七五三(しめ)の初めだといわれている。
七は、若松では体用留それぞれに陰陽と二本ずつ、体と用の間に腹籠一本の計七本の七であり、二日の竹、
三日の梅の場合は水引の数を意味する。水引の金色は陽で、いけあげた花姿の用下に位置するように結ぶ。
五は、若松では腹籠五胎を生ずるの五であり、竹では五節の五、梅は五本の五。
三は、若松では陰陽三所の三。竹と梅では天地人三才の三。
花材:若松・竹・梅
 
2号「蓬莱」
五大の「地」とは大地・地球を意味し、堅固さや安定を象徴する。深山幽谷に降り注いだ雨や霧は、土中で長い時を経て濾過されやがて地表へ湧き出て、水の源流の初めの一滴を生む。古代中国では不老不死の仙人が棲むと言い伝えられた深山の風景からは瑞気が立ち上り、水そのものが生命の淵源という感覚も実感できる。水蒸気が立ち上る様子から、運気を上げる「立涌(たてわく)」文様が生まれ平安時代には有職文様として用いられた。この作品では、渓谷をほとばしり流れる水の動きを万年青で表現している。
花材:落羽松の気根・松・万年青 ほか
 
3号「登龍」
五大の「水」は、潤い・流動性や変化を象徴する。
梅は、非常に長寿で生命力が強い。老木の幹は苔むして、枝は複雑に交差し、あたかも大地を這う龍のように形容されることがある。この作品では、厳しい風雪に耐え抜いてきた梅の大木を、水を司る二柱の龍神に見立てて表現した。梅の新芽は特に「気條(ずわえ)」と呼ばれ、「力強さ」や「繁栄」を感じさせることからお祝いの席にふさわしい。力強く昇る姿は、まるで龍が天に駆け上がるかのように希望に満ちていうようである。
梅の足元には、「水」に掛けて水仙をいけている。芽出しの玉根の姿に新しい生命の躍動を感じて頂きたい。
花材: 梅、水仙、サルノコシカケ、ヒカゲカズラ 、万両 ほか
 
4号「丙午」
五大の「火」は太陽、情熱、生命の輝き、成長などを象徴する。今年の干支「丙」は、まさに「太陽」や「炎」を表し、明るく活発で、物事がハッキリと表れることを意味する。「午」は、行動力、躍進、情熱などの象徴で一気に駆け上がっていくような勢いがある。この作品は、「福徳、寿徳、財徳」の三徳が宿ると言われ縁起の良い「朱竹」に見立てた朱塗の竹の林と、その朱色の輝きの中を風を切って駆け抜ける駿馬の力強い躍動感を竹の枝で表現したものである。
花材: 竹、蝋梅、椿、ほか
 
5号「一富士 二鷹 三茄子」  
五大の「風」は、動き、生命の躍動、変化、成長などを象徴する。
この作品は、葛飾北斎『富嶽百景』の、鷹が雉を捉える絵をモチーフにしている。 
勇猛な鷹の羽ばたきが生み出す力強い風と勢いを表現したいと思った。風に乗って勢いよく羽ばたいて幸運を掴み取る一年になるようにとの願いも込めている。「雉を捉える」を「喜事を捉える」と読み解く想像力を働かせると、さらに喜ばしい気持ちになれる。鷹と言えば、古くから初夢に見ると特に縁起が良いとされるものに、「一富士」「二鷹」「三茄子」という言い伝えがあり、それぞれ「無事(富士)」「高い(鷹)」「事を成す(茄子)」という、一年の成功を願う吉祥の意味が込められている。
花材  鷹:   古木、リュウゼツランの葉、コウモリラン、アガベ 、ソテツ ほか
    茄子: ヒョウタン 
    富士: 立ち栢槙
 
6号「日月」
~宇宙の調和と清らかな心~
五大の「空」は宇宙全体、そしてすべての要素を優しく包み込む無限の空間を象徴している。富士山は、昔からその孤高の美しさだけでなく、神々が住まう山として人々に崇められてきた。この作品では、富士山への登拝の様子を描いた「富士参詣曼荼羅図」の仏教的宇宙観を、嵯峨御流荘厳華の様式で表現している。広大な宇宙観の中で、日輪と月輪が美しく輝き、清らかな明かりを灯すように、すべてを包み込む調和の世界をいけばなで表したい。花を置いている紺碧の色の台は駿河湾、富士の裾野に広がる三保の松原を配している。 
花の左右にあるのは日輪と月輪。
日輪(太陽の象徴であり、仏の円満な智慧や真理を表す)
月輪(月の象徴であり、すべての人に備わっている満月のような清らかな心を表す) 。
「日」と「月」を組み合わせた「明」という文字は、令和八年の新年歌会始の御題である。
花材: 台杉、ユズリハ、金柾木、南天、地湧金蓮、北山杉(スライス)、キングプロテア、ほか
 
7号「馬九行久(うまくいく)」
~万事、上手くいく願いを込めて~
令和八年、情熱と勢いに満ちた丙午の躍進の年に、最高の縁起を贈り届けたい。
この作品では、嵯峨御流の伝書に伝わる、「轡」を花留として九種の特別な組み方にして用いている。
「左馬」に宿る、福を呼ぶ力
福が舞い込む: 「馬」という字を左から読むと「まう(舞う)」に通じることから、「福が舞い込む」という非常に縁起の良い意味がある。
無事成就: 
「馬は左から乗ると転びにくい」と言われているように、「途中で倒れない」「無事に進む」という意味が込められ、道中安全や、目標が無事に達成される「無事成就」の願いが託されている。
「左馬」は、「右に出るものがいない」という意味にも通じ、勝負運を上げるとされている。
九頭の馬が叶える「馬九行久」
また、九頭の馬を描くことで「馬九行久(うまくいく)」という語呂合わせになり、「万事、何事もすべて上手くいく」という最高の吉兆の意味になるので、皆様の願いがすべて叶い、万事うまくいく明るい未来を祈る。
花材: 桜、水仙、蘭、季のもの、ほか

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