いけばな嵯峨御流

6月5日。大正大学「文化の探求」の講義で、ゲスト講師を勤めさせていただきました。

仏教の実践がサブテーマになっている「文化の探求」は様々な学部からの学生120名を対象に行われています。
6月5日に、私はゲスト講師として、伝統文化で現代の共通の問題である環境を守る、というテーマで講義をしました。パワーポイントを使い、まず2015年に国連が発表したSDG’s(持続可能な開発目標)の話から。そして、伝統文化で、自然の風景に関心を持つことが、自然を慈しむ心を育て、自然環境の保全につながるとお話ししました。

自然の風景は、山から海までの水の流れの連続した水の流れによって生み出されるという発想から生まれた、嵯峨御流独特の「景色いけ七景三勝」は、水の流れを7つに分け、それらの特徴ある水(深山の渓流から発し、山湖、小川、池、河川、海浜へ至る)の連続性を具体的にかつ美しく表現しています。しかも、この七景の捉え方で、様々な気候帯の風景も、水の流れとその地域の特徴ある植生をいけあらわせば、世界のどこの景色でもいけることができます。

このような花態が嵯峨御流に誕生した背景には、平安時代に唐風文化の興隆につとめながらも御自らは日本の風流を好み、大沢池に咲く菊花の姿に万物に等しい命の大切さと天地人の調和によりもたらされる平和の尊さを感じられた嵯峨天皇の自然観と、命は繋がって存在しているという曼荼羅の思想を伝えた空海の宗教観があります。
日本伝統文化いけばなには、仏教の深い関わり、また未来の社会に貢献できる思想が、いけばなの型として伝承されていきます。

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