10月になるとソワソワ。お一日から五日までの間のどこかで、ずいき祭のずいき神輿を拝ませてもらいます。
北野天満宮ゆかりの「瑞饋祭(ずいきまつり)」。西の京御旅所というところに、御神輿の屋根をずいき つまり里芋の茎で葺き、全体を穀物や野菜、草花、乾物を使って作られた、ずいき神輿が祀られているのです。
瑞饋祭の「ずいき」の音が「瑞気」、「随喜(嬉しい)」に通じる、と記してあります。
お神輿の四隅には根のついた頭芋をお顔に見えるように彫刻してあるそうで、頭芋は京都の白味噌のお雑煮に丸ごと入っている、あの頭芋です。柱を覆う紫は千日紅、一柱に2000個も使うそうです。鳥居の上の黒い部分は炭に見えるけれど、墨と絵の具は使ってはいけないといわれているとのこと、上等の黒いお海苔で。壁にみえる白い部分はわらづとを割いて紙に貼る、と大変なお手間です。のべ40人の西の京の地元の方が1ヶ月くらいかかって作られ、もっと前からこれらのお野菜や草花を育てるところからされているそうで、お祭を継承される方々の熱い熱い想いに敬服いたしました。
ちょうど花園小学校の生徒が、このお祭りの保存会の方のお話を聞く、学習会をされていたのを横で聞かせてもらいました。
令和7年御題「夢」の作品と御題花器の発表会。9月26日。
嵯峨御流では毎年、天皇様が催される歌会始の御題に因んだ作品と花器を創作して、新年に全国の門人の皆さまと共に御題花をいけています。
令和7年の御題は「夢」です。将来実現させたい理想や希望と解釈して、渋沢栄一氏の座右の銘と言われる「夢七訓」を取り上げ、そこから触発を受けて創作した御題花です。創作した花器は「夢」の漢字をイメージしたものです。
夢の漢字の成り立ちについては諸説ある中、夕暮れ(夕の部分)に草むら(草冠の部分)からものを見ている(罒の部分)様子」の象形という事ですから、このたびの御題としては、「草むらから未来を見つめる目」と前向きな意味にとらえて制作しました。
扁平な形で上から見ると目の形をしています。色は若緑釉、総じて緑からイメージされるのは平和、安定、安全、中立、新鮮、健康、生命力、自然など。バランスを整え、優しく平和な気持ちになれるものでもあります。
さらにこの花器、4つ繋ぐと七宝の形になり、さらに3つずつ足していくと七宝つなぎの模様になっていきます。置き方を工夫すれば葉っぱのようにも、月桂樹の冠のようにもなり、夢が広がる器なのです。
お正月は御題花をいけていただくとして、常にこの花器をフル活用していただきたいと思います。わたくしからは合計9作品をいけてテキストに載せ、ご提案していますが、どのように使うかは挿花者の創意と工夫で。
9月17日、旧暦の中秋。
今宵も見事な名月と池に映る月の両方を拝むことができました。全職員の方が池の余分な水草除去のために一週間以上ほぼ毎日尽力されたおかげで15日からの三日間、美しいお寺と池を背景に行われた観月の夕べはでは嵯峨天皇の時代にタイムスリップしたかのように、龍頭鷁首舟が行き交う池の水面に月が映り込み美しかったです。もと嵯峨天皇の離宮にして後に御所となった旧嵯峨御所 大覚寺。大沢池は現存最古の庭園池で、嵯峨天皇が貴族を招いて月を愛でる宴を催された、同じ場所です。
法要の後のお寺様のお話で、嵯峨天皇様は離宮嵯峨院のこのお庭に貴族を招かれてお月見をなさった場所ですから、皆様も今日は嵯峨天皇様にお招きをうけた、そのような気持ちでお過ごしください、また空海様ともいろいろなお話をなさったところでもあります、というようなお話でありました。目の前のものだけを見るのではなく、本質を見ること。全てのものを美しく見る心を持つこと。という空海のお言葉や、源氏物語胡蝶の巻に龍頭鷁首の行きう様子が描かれているなど、貴重なご法話を伺えて、満ち足りる思いです。

毎年、嵐山法輪寺様で重陽を祝う法会が行われ、茱萸袋を授かることができます。毎年、この茱萸袋の芳しい香りがお部屋に満ちるのを楽しみにしているのです。
重陽のお話しで、NHK BS「美の壺 -千年咲きほこる菊-」に少しの時間ですが大覚寺 望雲亭にて、重陽の菊をいけて出演させていただいております。
ご覧くださいませ。
BS 9月24日(火)17:30-17:59
再放送(BSプレミアム4K)
BSP4K 9月23日(月)13:00-13:29
BSP4K 9月25日(水)前8:00-8:29
BSP4K 9月28日(土)前6:45-7:14
観月の夕べは、9月15日(日)~9月17日(火・中秋)で、毎日 19時から満月法会とご法話があります。
16日今宵だけ、ご法話に続いて佐藤和哉様が宝塔前において篠笛を演奏されました。
幻想的な笛の音と水面の月にうっとり。。。

9月15日「大覚寺観月の夕べ」初日。薄い雲がかかるものの夜空を明るく照らす月と、その月を映す鏡の様な水面の大沢池。平安時代の大宮人は盃にも月を浮かべて楽しまれたのだそうです。
19時月天に祈る法会が始まり、声明と読経の厳かな響きに満たされます。宝塔のほうへ歩いていくと、放生池にかかる柳の大樹を見越す月もまた美しい。

9月15日から17日(中秋)の3夜、大覚寺大沢池で観月の夕べが催されます。昨年に続き今年も16日の夜に、池の水面に響く佐藤和哉様の篠笛を楽しみにいたしております。
大覚寺の観月は、平安時代嵯峨天皇が貴族とともに楽しまれたように、今も静かに池に映じた月を愛でるものです。
大沢池は平安時代、元嵯峨天皇の離宮し 嵯峨御所の庭池にして、現存最古の庭園池、天皇のお庭に入る、そのような風情の残る場所
大覚寺 霊明殿。ここは拝観順路ではないお堂です。艶のある朱塗りの美しい霊明殿には阿弥陀如来様がおまつりされています。お堂の後ろ側には華道嵯峨御流 全国司所の霊名簿が安置されていて、毎日お祈りが捧げられている場所です。
このような美しい場所で、今は亡き先輩諸先生方のお名前が残されていくのはとても有難い事です。
写真の「はなびら」は大覚寺の布教リーフレットのバックナンバーです。わたくしが以前、流誌「嵯峨」用に霊明殿の扉を借景に撮らせていただいた作品を表紙に取り上げていただいたものです。
高雄曼荼羅を拝見できたのはこれで2度目、貴重な機会でした。紫綾地に金銀泥で描かれた縦横4メートルもの両部界曼荼羅の内、後期展示は金剛界曼荼羅。そして、ご本尊の薬師三尊をあらゆる角度から拝ませていただきました。
東博 平成館2階を埋めつくす書物、絵、仏像、等の中で1箇所この場所だけは写真撮影OKとのこと。神護寺の楼門におわすニ天王。

和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~
文化財を舞台に表現する空間アート
和のあかり×百段階段2024
~妖美なおとぎばなし~
が、東京の目黒雅叙園で2ヶ月半の間開催されており、「草丘の間」は「鯉の滝登り」がテーマでした。一葉式いけ花家元 粕谷尚弘先生が出品されていて凄い迫力です。草丘の間の釣り電灯も作品に取り込まれ、見る角度によって、滝を登る勢いの鯉の両眼に感じられて圧巻!