今月の月刊『嵯峨』、門跡様の御言葉は「我逢人(われひととあうなり)」。「世の中は常に人と人との関わり合いです。私達は人との関わり合いの中で悩みます。しかし、人との関わり合いの中だからこそ、救われることもあるのです。」と語られています。
さて、先月 大阪高島屋で、第47回日本いけばな芸術展が開催されました。その会場で当番をしていた嵯峨御流の先生のところへ、ある方がこられて「嵯峨御流のお花を習いたいのです」と仰しゃいました。先生は、ご住所などをお聞きし、最寄りの地域にお住まいの先生にすぐさま取次いで下さり、その方は念願の嵯峨御流を習う事になりました。このように、出逢いは、あらゆる場にあって、人と人が触れ合うことで形になっていくものだと思いました。
日常生活においては、心配事やくよくよ悩むことは少なくありませんが、そのような心の状態でも気持ちを切り替えて良い場へ出かければ、思いがけない良い出逢いがあるものです。昨今、いけばなを習う方が少なくなった、という嘆きの声をよく耳にいたしますが、先生は家で待つばかりではなく、一人でも多くの方にこちらから出逢いに行く心持ちで、明るく外へ出て人と話してみると、意外なつながりが生まれるかもしれません。門跡様のお言葉の続きは、「全ての始まりである出逢いを、否定的でなく、前向きに見ていくことが大切です」と、人にとって出逢いの尊さを教えて頂きました。「我逢人」このお言葉から、私が改めて実感したことは、意志と行動は意外性と出会いを生み出す創造活動だということです。
今月のいけばなは貝塚伊吹・古木・ナナカマド・富貴草・菊
家を出て戸外の自然にふれ、時には足を延ばして大自然の中へと身を置くことで、心の垢を払拭する。このような心境で深山の景を想い花で表現しました。
いけばな嵯峨御流「ぐるーぷ七草」の花展を拝見しました
30年来のいけばな嵯峨御流同好会「ぐるーぷ七草」の華展が建仁寺塔頭の西光院で開催されました。
一昨年に会友の川上浩甫先生・松川博甫先生が亡くなられ、今回はお二人の追悼の心を込めた華展でした。お酒がお好きだったお二人の為に、本堂には大きな銀杯がしつらえられ、訪れたお客様が一輪ずつ銀杯にお花を献じる趣向で、杯の向こうで微笑むお二人のお写真が、ひときわ心に染み入りました。
京都府立植物園創立90周年記念式典会場に嵯峨御流が挿花
10月25日、創立90周年を迎えられた府立植物園で、記念式典の会場に伊東美知甫先生が挿花されました。
背丈3mほどもある猩々椰子(ショウジョウヤシ)・バショウ・セローム・ドラセナ・カンナ・百合など。
10時半からの式典では、山田啓二京都府知事様、京都市長代理藤田副市長様をはじめとして、多くの御来賓による祝賀行事が行われ、風に揺れる猩々椰子が祝賀ムードを盛り上げているように見えました。
11月8日、特定非営利活動法人Quality of Life Foundation「医科学研究者国際支援協議会」が開催したPINK BEAUTY2014<8thチャリティー・ガラ・パーティー>に嵯峨御流が協賛しました。
特定非営利活動法人Quality of Life Foundationは、乳がんをはじめとする女性疾患についての予備知識の普及啓発を促進するとともに、医科学研究者の国際相互交流による医療発展のための研鑽を支援することにより患者の皆様に希望と勇気をもたらす架け橋となり人々の健康と生活の質の向上を実現し、国際相互理解の促進に寄与して
いる団体です。特定非営利活動法人Quality of Life Foundation「医科学研究者国際活動支援協議会」が主催するPINK BEAUTY2014 <8th チャリティー・ガラ・パーティー>に嵯峨御流が協賛しました。慈しみの心をもって、かけがえのない命を大切にするという点はいけばなにも通じることであり、今回のチャリティーに協賛することは、命の大切さをいけばなで表す嵯峨御流の精神と合致するものだと思うからです。また、協賛させていただくことで、世界の方に嵯峨御流の精神を知っていただける機会でもありました。
写真は、講演をなさった山内英子先生と、御所車の前で撮ったものです。
※山内英子(ひでこ)先生:聖路加国際病院乳腺外科部長/ブレストセンター長。 特定非営利活動法人Quality of Life Foundation「医科学研究者国際活動支援協議会」メディカルアドバイザー
会場である東京アメリカンクラブには、230名余りの御来賓や各界の名士が集われ、その中には、各国大使閣下のご参加があり、豪華なパーティーでした。会場ロビーにいけた御所車の前で、参会者の方々が記念写真を撮られるお姿を嬉しく思いました。また28卓のテーブルにも、嵐山の竹を使ったテーブル花が飾られ、それらのお花は嵯峨御流有志の先生の寄付によるものでした。
嵯峨御流北海道司所いけばな展「花の心をつなぐ」~南秀月先生七回忌によせて~
11月2日・3日の両日、札幌時計台ビルギャラリーにおいて、追悼華展が開催されました。見事な紅葉に彩られた御所車に迎えられて、丁寧にいけられた作品の数々を拝見させていただきました。故 南秀月先生は国内外へのいけばなの普及に努められた方で、特に嵯峨御流のベルギー支部を長年にわたり指導なさるなど、大きなご功績を残された方でした。2007年10月の、「ニッポンノケシキ」イベントで、風景をテーマにした、ヴァイオリンとのコラボレーションでの先生の華麗なデモンストレーションのお姿は記憶に鮮明に残っています。 華展には、先生のお人柄をお慕いされる多くのファンの方々が集われたようです。元司所長坂野侑月先生・現司所長有馬実佐甫先生を中心に、この華展で司所の絆が一層強くなりますように、益々のご発展をお祈りしています!
11月1日、学生華展を拝見してきました。130名余りの学生がいけた会場は、とてもパワーあふれるものでした。また、一作一作が丁寧にいけられていて、とても見ごたえがあります!昨年まで、私は京都嵯峨芸大の華道授業を担当していましたので、格別の思いがあるのですが、みんな、確実に進歩していました。6クラスを受け持つ9名の講師の先生方の愛あふれるご指導の賜だと思います。この大切に育てられた<種>が、未来に美しく大きな<華>となって開きますように、と心から願っています。
ところで、この大学で華道を学ぶことは、非常に幸運なことだと思います。希望すれば2年間で師範を、4年間で教授の資格を取ることができます。また、美しい自然が身近にあり、その自然の風景をいけばなで表現する方法を学ぶことができるからです。嵯峨御流の花には、自然と共にある生命の大切さ、花を通じて世界平和を願う心が息づいています。そして、卒業後は広い世界へと羽ばたいていく学生が、当流独特の、水の流れの表現を自分の身に着けて、自信をもって自分の風土をいけばなで表現し、異分野の人と理解を深めるきっかけとしていただきたいと思います。いけばなは、かけがえのない自然という地球環境を大切に思う心を美的に表現するものだからです。
京都御所 秋季一般公開に嵯峨御流が挿花【写真更新しました!】
嵯峨御流 京都地区連絡協議会の先生方と共に、挿花致しました。
この度の作品は、桐・蛇の目松・カリン・鶏頭・椿 など。場所は、紫宸殿の東回廊の中央です。
10月30日(木)~11月5日(水)までの7日間で見学は、申込手続不要で無料です。
入門時間 午前9時(開門)から午後3時30分(閉門)まで。
京都御所のお花は、毎朝京都地区連絡協議会の先生方が丁寧にメンテナンスをして守って下さっています。10月29日にいけこみをしてから、今日で5日目。お花はしっかりと元気に持っていて、桐のお花が咲き出しているようです。嬉しくて、思わずご報告させていただきました。11月5日まで、先生方に引き続きお世話になります。一般の皆様に、先生方の真摯なお心が届きますように。
中嶋啓甫先生 中西千里甫先生が挿花された陶器の展覧会を拝見しました。
10月25日、京都市内にある長江家において開催された、8名の陶芸作家の展覧会で、8名の作家の個性的な作品に合わせたステキなお花がいけられていました。花があると、器は生き生きとして、一層魅力的に見えますね。 会場は京都の古い町屋のギャラリー長江家で、お庭の風情も素晴らしいところでした。
京都嵯峨芸術大学、学生華道展が11月1日・2日に開催されます
大覚寺学園・京都嵯峨芸術大学の学園祭「嵐芸祭」において、華道の授業を履修している一回生から四回生全員約130名が、一堂に会して学生華道展を開催します。ぜひ皆様、大学へ足を運んで成果を見てあげてください!
今日、私はいけこみ会場である第6演習室へ、陣中見舞いに伺いました。9名の講師先生方には、大変お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。そして130名もの学生さんの一生懸命な熱気が伝わって感動しました!明日からの展示が楽しみです。写真は、いけこみ風景スナップです。
開催時間10時から17時
京都嵯峨芸術大学
代表電話075-864-7858
〒616-8362京都市右京区嵯峨五島町1番地京都嵯峨芸術大学
会場は、学内第6演習室。(東端の建物屋上、UFOの様なドーム形教室)
平成27年御題「本」に因んで、御題「本」花器と御題花を発表させてい
嵯峨御流では、新春に天皇が催される歌御会(うたごかい)の御題に因んだ御題花器と御題花を歴代華務長が制作・謹挿しています。来年の御題「本」の花器と御題花を、10月22日に発表させていただきました。
本の花器は、常に身近に置いて愛用していただきたいとの想いから、持ち運びしやすい大きさで、全体に釉薬を掛けて裏表を気にせず使えるようにし、平らに置いても、立てても、またブックエンドのようにも使えるように考えてみました。遊び心とともに、皆様の生活の中にいつも花が傍にあり心潤す存在となりますように願っております。御題花として、本に羽根ペンを添えるイメージで、魔除けにもなる孔雀の羽根をあしらった作品をいけてみました。皆様の創意と工夫で、お重のように重ねたり、またブックエンドのように広げたりして、様々な使い方を考えていただければ幸いです。