いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

4月15日。「日本いけばな芸術中部展」 後期展を拝見

「日本いけばな芸術中部展」

〜 新たな歴史への夢〜
日本いけばな芸術協会主催の「日本いけばな芸術中部展」。最終日の15日に後期展を拝見しました。嵯峨御流からは、9名7作が出品しました。


前期展のスナップははこちらをご覧下さい。
https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_15379/

4月4日。嵯峨美術大学・大学院・嵯峨美術短期大学、大覚寺での新入生オリエンテーション

https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_15484/

「4月2日。嵯峨美術大学・大学院・嵯峨美術短期大学 入学宣誓式。」の続きです。

4月4日には、大覚寺に嵯峨美術大学・短期大学380名の新入生が集まり、伊勢俊雄理事長が大覚寺のお話を、そして私が嵯峨御流のお話を致しました。

~伊勢理事長のお話~
大覚寺は日本史の中に出てくるお寺、時代劇によく使われるお寺、いけばな嵯峨御流のあるお寺です。せっかく嵯峨美で学ぶなら、嵯峨御流の資格を取って卒業してほしい。全国に、107司所が、また海外の北米やヨーロッパにも支部がありベルギーは30周年を迎えました。皆さんは海外へ行くことも多いと思うので、そのような時にいけばなで日本の良さを紹介できる。いけばなで、日本の古い伝統も身につけていただきたい。
大覚寺の特徴は、お堂が通路で繋がれてる事で、これが御所の名残、京都御所もそのようになっています。(省略)


私がお話したことは、他の大学との違いと、いけばな嵯峨御流の話です。
まず一つ目。嵯峨御流は家元制ではなく、嵯峨天皇様が御始祖である事。嵯峨天皇様は、ご自分が自ら花を手折りいけられた初めの天皇で、実際にこの場所にお住まいになられ、ここは御所であったこと。庭に咲く菊の花を殿上の瓶にいけられたところ、その菊に天地人三才の姿が自ずと備わっていたとこほから、爾今花を賞づるものは之をもって範とすべしと仰ったこと。
以降代々の門主様は皇室の方がつとめておられる、格の高い門跡寺院大覚寺の大覚寺の中にあって、華務職として仕官してきたのが嵯峨御流の華道です。
二つ目。ここが大覚寺学園 だということ。嵯峨美術大学は、この歴史と由緒が背景になっている大覚寺が母体です。嵯峨天皇様は中国の文化を良く理解された上で国風文化をうちたてられた御方です。一流の人・国は他の模倣するだけではなく、その独自の文化を持たなくてはならない、このことは今も学ぶべき事です。嵯峨天皇様は、818年疫病で民が沢山なくなったとき、自ら写経を書かれて民によりそおうとされました。60年に一度定めのご開封が行われています。また、嵯峨天皇様のことでは、皇太子殿下がお誕生日の会見で象徴天皇の在り方とは、嵯峨天皇様がお写経に託された心でありそれは災害が起こったときに常に民に寄り添う心だと語られています。
三つ目。日本現存最古の庭園池である大沢池が、大宮人が観月のために池の水に月を浮かべていた1200年前の姿が、今もそのままあり続けていることです。この風景が嵯峨御流の盛花の花態のもとになっています。自然の風景が1200年以上姿を変えず存在し続けるとは、風景の源にして命の根源となる水の流れが健全に流れているから。
この水の流れを山から海までの一つのつながった系としてとらえ、七つの水の流れをいける「景色いけ 七景三勝」のいけかたが他流と違う独特の花態。動きのある、連続した水をいけ表せるため、世界のどこの気候帯、どのような風景でも、七つの型に当てはめればその特徴ある風景をいけることができます。これを身につけて、世界の人とコミュニケーションしていただきたいのです。
さらに、華道を通じて日本の花文化を掘り下げていくと、必ず日本文化の水脈を掘り当てることができます。道のつくものを身につけることで、自分のなかに、自信と誇りが備わるようになると思います。


随分自分勝手に編集してしまいましたが、入学生への2日にわたるお話をまとめてみました。
これを読み返して、学生生活の貴重な2年間または4年間を、華道を知り嵯峨御流に触れていただき、卒業時には、文化と芸術の力をもって社会に貢献する人として巣立っていただきたいと希うところです。

 

4月2日。嵯峨美術大学・大学院・嵯峨美術短期大学 入学宣誓式。

4月2日、約380名の入学生を迎え、入学宣誓式が執り行われました。式典のはじめ、伊勢俊雄理事長からのご挨拶の中で、大覚寺学園である当大学の歴史やいけばなとの関わりなどもお話されました。昭和46年に嵯峨の地に嵯峨美術短期大学として創設され、創立30周年の平成13年に京都嵯峨芸術大学となり、平成29年には嵯峨美術大学と校名変更をした嵯峨美術大学からは、2万人をこえる学生が社会に出ています。大覚寺学園というのは、大覚寺というお寺が母体となっているからで、大覚寺は旧嵯峨御所ともいい、1200年前の嵯峨天皇様が御所としてお使いになられたところです。大学の理念は嵯峨天皇様と空海様のお考えが基になっています。昨年、嵯峨天皇様がお書きになられたお写経が60年に一度のご開封があり、皇太子殿下をはじめ多くの宮様が大覚寺におこしになられました。嵯峨天皇様は、平安京の基礎をつくられたお方、自然 芸術 文化を大切になさり、嵯峨御流の源流をつくられた方でもあります。
その精神を受け継いでいくことをこの大学の理念としています。
冒頭このようなお話でした。


続いて今年度より新たに学長に就任された佐々木正子先生によるご挨拶がありました。平安時代第52代嵯峨天皇様が造営されたのが嵯峨御所、それは今の大覚寺となっており、嵯峨天皇様の美意識を継承していくのが嵯峨御流のいけばなと、本学・嵯峨美術大学です。深い伝統の中にあって、新しい分野・革新的な作品も創作するという活動がなされています。風光明媚な環境の中で、アットホームな本学の雰囲気は、きっと他にはないものだと思います。と、冒頭に述べられました。

https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_15487/ 

「4月4日。嵯峨美術大学・大学院・嵯峨美術短期大学、大覚寺での新入生オリエンテーション」に続きます。

平成31年嵯峨御流「華道祭」無事に終了。感謝を込めて。 テーマ〜To The Next〜

4月14日、おかげさまで嵯峨御流華道祭を盛会裡に終えることができました。ご来場下さいました皆様に心から感謝申し上げます。

この華道祭の趣旨は、御始祖嵯峨天皇様への報恩と感謝の意を、花を以って表すことです。北海道から沖縄まで、全国107司所の代表者が一堂に集まり、それぞれの花席に花を生けて献じました。また、華道総司所の諸役が皆名前を連ねて嵯峨御流の伝承花、心粧華、新花「花がさね」、大作などをいけ、また華道芸術学院教授・派遣講師による個人作品など、あわせて200杯近くの作品が、ほぼ寺内全域に展覧されました。

核となる行事である「華供養塔・嵯峨天皇奉献花法会」は中日の13日10:30から12:00に、今年は埼玉司所から40名が出仕されて厳かに執り行われました。

毎年のことながら、お茶席をご担当頂く庭湖会の先生方にはお忙しい3日間だったことと思います。

今年は、京都の「都をどり」の舞台が新天皇御即位に因んで大覚寺が背景になるなど、陛下がしばしば口にされる嵯峨天皇様の事に、衆目が集まっております。
それゆえに、今年は華道関係以外お客様も多かったように思います。寺内職員の皆様と、嵯峨御流華道家が一体となってむかえた今年の華道祭は、大変忙しい中にも笑顔が絶えない、喜びあふれる、温かい会でありました。

ご支援くださいました皆様、ご来場下さいました皆様、ありがとうございました!

 

そして、法眼玲子様撮影の写真を掲載させていただきます。

4月10日。日本いけばな芸術中部展を拝見。

「日本いけばな芸術中部展」

〜 新たな歴史への夢〜
日本いけばな芸術協会主催の「日本いけばな芸術中部展」が松坂屋名古屋店 本館7階で開催されています。前後期あわせて405名が出品されており、嵯峨御流は前期9名7作、後期9名7作が出品します。

会期は4月10日(水)~15日(月)
前期展4月10日(水)~12日(金)
後期展4月13日(土)~15日(月)

4月10日、私は閉場ぎりぎりになりましたが前期展を拝見してまいりました。嵯峨御流では4月12日から14日まで大覚寺で開催する華道祭の準備のため、10日からいけこみが始まっています。。。

華展の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_14463/

華道祭。大覚寺にて。 4月12日から14日まで。

京都嵯峨 大覚寺において、10時から16時まで、嵯峨御流華道祭が開催されます。平成から令和への変わり目
あということもあり、大覚寺霊宝館では、「天皇と大覚寺」という展示もなされています。

全国107司所の作品、教授派遣講師による40作の個人作、嵯峨御流の伝承華や心粧華、有名な陶芸家の作品コーナーなど約200作が、お寺の供待・大玄関・重要文化財の障壁画の前に、また華道芸術学院の三階立てフロアすべてに、一堂に展示されます。

中日の13日10:30から12:00の間、「嵯峨天皇奉献華献茶式」がお寺で挙行されます。嵯峨天皇様に捧げるため、献華者と紅白の装束を身につけた献華侍者が寺内を歩いて石舞台に到着、そこでお花が一対でいけあげられる様子を旧嵯峨御所の風情の中でご覧下さい。

いけばな以外にも、3日間毎日、お茶席が三席設けられています。大沢池に浮かぶ竜頭鷁首の二艘の船が池を一周する間にお薄をよばれられる「船席」、池に面した茶席”望雲亭でおよばれする「本席」、池に面した観月台での「立礼席」。

ほかにも、京風お弁当、京菓子のお店や模擬店、またお香の松栄堂さんやお土産品屋さん、茶華道用品の専門店も出店されて、とても賑やかになります。

普段は、旧嵯峨御所のらしいしずかな佇まいのお寺ですが、この華道祭のときばかりは、全国から沢山の人出です。いけばなをじっくりご覧いただき、境内の桜を愛で、回廊で全てのお堂が繋がれているお寺の中をご覧になったり、また庭に降りて大沢池を散策なさるなど、楽しい時をお過ごしくださいませ。

特別企画として、
①毎日11時、12時、13時、14時の4回づつ当流講師陣によるいけばなデモンストレーションが寺内の鳳凰の間でおこなわれ、その様子はライブ配信されます。
②いけばな体験。大覚寺内にある、華道芸術学院1階にて、毎日11時から14時まで随時(花材費1,000円のみ必要)。当日参加可。
③宝物館も、回廊で結ばれており、現在春季名宝展「奉祝 皇位継承記念 天皇と大覚寺」を華道祭と同時開催中(別途入場料300円)

4月9日。第70回華道京展 を拝見。後期 嵯峨御流の作品をご紹介します。

大丸京都店6階の大丸ミュージアムで4日から9日まで開催された、第70階華道京展。

後期 嵯峨御流の作品を、出瓶者の先生から頂いたお写真でご紹介します。

4月7日。結婚式に「桃夭」の詩を想う。

4月7日。結婚式にお招きを受けました。代々深いご縁を頂いておりますので、この度のお招きを嬉しく思いました。

そして、今日は大安日にして、旧暦の3月3日雛節句の日。お母様は精緻なお人形をお創りになる人形作家でいらっしゃいますので、上巳の節句の日にお式を挙げられる事は素晴らしいご縁だと思いました。
東京農大ご出身で、お花のご縁で知り合われたお二人は、これから下関の「下関花維新の会」の一員となられ、花卉園芸生産農家として、花づくりに携わられるとの事。
平和のシンボルでもある花を作る素晴らしいお仕事を通じ、お二人の未来に大きな花が咲きますように、心から願いました。


この日、新婦は桃の花のように麗しく輝いておられました。中国で祝婚歌として詠まれた、『詩経』の「桃夭」の詩にうたわれているように。

 

「桃夭」
桃之夭夭 灼灼其華
之子于帰 宜其室家
桃之夭夭 有蕡其実
之子于帰 宜其家室
桃之夭夭 其葉蓁蓁
之子于帰 宜其家人
(詩経)


とうよう
桃のようようたる
しゃくしゃくたるその華
このこ ゆき 嫁ぐ
その室家に宜しからん

桃のようようたる
ふんたるあり その実
このこ ゆき 嫁ぐ
その家室に宜しからん

桃のようようたる
その葉しんしんたり
このこ ゆき 嫁ぐ
その家人に宜しからん

 

現代語訳
https://ja.m.wikibooks.org/wiki/高等学校古文/漢詩/桃夭

(を引用させていただきました。)
桃(の花)は若々しいよ、  
燃えるように盛んに咲くその花よ。
(その花のように若く美しい)この娘は今お嫁に行きます。  
きっとその家の人とうまくいくでしょう。
桃(の実)は若々しいよ、   
はち切れるようなその実よ。
この娘は今お嫁に行きます。  
きっとその家の人とうまくいくでしょう。
桃(の葉)は若々しいよ、  
盛んに茂るその葉よ。
この娘は今お嫁に行きます。  
きっとその家の人とうまくいくでしょう。

乾杯のご挨拶の様子。

(披露宴の閉会時に、映像がスクリーンに映し出されていましたので、自分で自分を撮影)

4月8日。大覚寺。

4月8日。お釈迦様の誕生を祝う「灌仏会」(花まつり)の日です。花御堂に安置した釈迦像に甘茶を注ぐ行事が大覚寺の中で行われます。

この日、抜けるような青空を背景に、境内の桜が一層美しく見えます。華道芸術学院の真前に建つ華供養塔の周りには、桜吹雪が、雑草一つ生えていない苔の上に散って、絵のように美しい。

お庭の手入れは、管財課の皆様が精魂込めてなさってくださるお陰で、いつもお寺は美しく、身も心も浄められます。

4月6日。第70回華道京展特別企画、新進陶芸作家特別出品。

コーディネーター 辻 喜代治 氏の言葉。
「第70回華道京展を記念して、若手陶芸家とのコラボレーション(協作)を企画しました。50回展でも同様の企画がありましたが、今回は陶芸家が常日頃制作発表している作品、つまり特に花を意識せずに制作・発表されたものに、華道家が挑む方法をとっています。京都の4芸術系大学から選ばれた33名との”新しい華空間”。どのような展開になるか興味のあるところです。そして他分野との直接的な関わりが希薄になっている今日、華道界・陶芸界にとっても刺激的な展覧会になることが期待されます。」

このブログで、嵯峨美術大学の8名の作家の作品に諸流派の華道家がいけられたコラボレーション作品をご紹介させていただきます。

 

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