嬉しい事は、日常の中にある。
今朝、総司所へ遠方からわざわざ花器を買い求めに来られた方と偶然に出会いました。
地元の大きな花展に出品するため器を探しておられて、後々まで使える良いものをと考えた結果、わざわざ嵯峨まで足を運ばれたのです。
大きな包みを持って嬉しそうなお顔で帰途につくその方に出会い、私はとても嬉しくなりました。総司所の職員の方々が、一生懸命に探して来られた器や物品、また歴代研究所が生み出して来た物達が、人を笑顔にし愛されて行く事が嬉しく、迷いなく総司所へ来た、と仰ったその人の想いを聞けた事で私の心にも新たな勇気の火が灯りました。
喜びは日常の中にあって、人との出会いはその喜びをお互いの力に変えてくれます。
小原流盛花記念センターへ伺いました。
昭和37年に小原豊雲先生と建築家の清家清氏により約10年かけて構想を練って建てられた素晴らしい建築です。
歴代家元(流祖小原雲心先生、二世光雲先生、三世豊雲先生、四世夏樹先生)の復元作品と貴重な資料の数々、そして五世宏貴先生の、建築と一体になった作品。
写真撮影は許可されていましたが、私の拙い写真ではお伝えしきれない、胸に迫る建築と作品に接してまいりました。
この度の公開を以て、この建物に入らせて頂く機会は最後との事です。
5月19日 未生流大阪の展覧会を拝見させていただきました。
未生流大阪の華展が、大阪市内念仏寺で開催され、拝見させていただきました。
お家元 新居哲甫先生の作品を掲載させていただきます。
5月21日。大正大学(東京)で、仏教学科基礎ゼミナールの授業を担当しました。
平成30年5月21日、大正大学仏教学科で授業を担当させていただきました。毎年春学期・秋学期にゲスト講師としてお招きをうけて、今年で6年目になります。今回の登録受講生は30名です。
まず、自己紹介を兼ねて、大覚寺と嵯峨御流の歴史についてお話を致しました。
大覚寺は1200年の歴史があり、もと嵯峨天皇の御所だったところです。その御所で発祥したのが嵯峨御流で、当時はまだ嵯峨御流という名前ではありません。
後になって名前が誕生しました。日本の公的な記録の中では、類聚国史という書物の中に、嵯峨天皇がお花をいけられたという記録が残っております。
嵯峨御流は、密教的な思想体系をもった華道ですというようなお話をし、嵯峨御流の紹介の後、私の講義に移りました。
講演テーマは、「いけばなで命と自然の大切さを学ぶ」です。大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。
嵯峨御流のすべての花態に曼荼羅の宇宙観が現れていますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと、一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。
最後に、荘厳華を「そわか」を用いていけました。密教の六大思想というものが反映された花型である荘厳華は、それぞれの役枝に六大を形にして表現しています。
曼荼羅の宇宙観である六大無礙の思想を、森羅万象の「地・水・火・風・空」の5つの役枝と、精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明して、授業は終了しました。
皆さん、とても熱心に聞いてくださり、本当に嬉しく思いました。
本日の授業は、派遣講師の石田啓甫先生に助手をしていただきました。基礎ゼミナール担当教授の米澤嘉康先生、助手の池田そのみさんも授業を見守っていてくださいました。
秋学期は、荘厳華「そわか」の実技をする予定ですので、いまからとても楽しみにしています。
先日、5月24日から27日まで埼玉県浦和市で開催された「日本いけばな芸術特別企画in彩の国」では、日本いけばな芸術協会特別会員で埼玉在住の小川秀水先生が、協会の実行委員として企画展へのご貢献、また嵯峨御流の出品者のお世話一切をして下さいました。
私も、小川先生はじめ嵯峨御流関東地区の先生方に大変お世話になり、屋外展示の制作と4日間のお手入れ、また25日の「9流派によるカキツバタをいける公開制作」では小川先生に助手をしていただきました。
もちろん、ご自身も「生活空間の中のいけばな」で後期ご出品なさいましたので、作品写真をご紹介致します。
さて、華道総司所では、7月13日に、小川秀水先生を講師にお迎えして、「土曜生花講座 『中元の花』」を開催します。
『中元の花』は伝書初伝に「中元には伐竹に時候の花をあしらいていける。7月は竹の春と云うて、若竹を愛する月なり、正月を竹の秋と云う。これは真竹の事也。このほか一切のもの 生じてより3ヶ月目が、そのものの春なり」とあるように、竹について学びます。
実技では全員が実際に竹を切り、また青々した葉に生き生きと水が行き届くよう、<竹の水揚げの秘伝>も教えて頂けますので、嵯峨御流総司所会員の皆様、ぜひ小川先生の講習を受けにいらして下さいね!
28日はお不動様の御縁日です。毎月、大覚寺境内の護摩堂(石仏の隣)で護摩が焚かれていて、5月28日、私も拝ませて頂きました。
最近、梅雨入り前の時雨で嵯峨一帯や大覚寺はしっとりと雨に濡れて良い感じ・大沢池には、やっと蓮の浮葉が現れてきました!この池にしかない「名古曽」です。
昨今 他の蓮池もアカミミガメの食害などでバスの新芽が出ないという事を聞いておりましたので大変心配していましたが、、、
そして、華道芸術学院の前を流れる御殿川の川底には、抜かれないよう大切に杭で囲われた、自然ばえのオモダカの一種が芽を出しました。
このオモダカは、葉が矢尻になっていないのです。でも、オモダカといえば、嵯峨祭りの5基の剣鉾の模様(澤瀉・牡丹・菊・龍・麒麟)の一つでもありますから、杭を立ててくださった御方にもきっと格別の想い入れがおありなのでしょう、大切にしていきたいと思います。
池の端を歩くと、揺れる青楓には赤いプロペラ状のタネが宿り、地面にはピンク色のミニチュアサイズのニワゼキショウがいたるところに生えています。毎年ここで子育てをしていたアオバズクの一家は今年も来るのでしょうか。
お寺の境内は、知れば知るほどに、魅力が一杯です。
日本造園学会全国大会 ミニフォーラム「文化遺産と自然のよりよい関係を考える」に、プレゼンテーターの一人として発表しました。
造園学会が京都大学農学部・大学院農学科で開催され、その企画の一つであるミニシンポジュウムのプレゼンテーターの一人として発表をいたしました。
「文化遺産と自然とのより良い関係を求めて」を目的に、元日本国際文化研究所の白幡洋三郎先生と、常寂光寺の長尾憲佑住職の発表からディスカッションが始まりました。
私は<文化遺産は揺るぎない価値を継承する伝統文化の寄り添いがあって維持されるもの>であること、また嵯峨御流には大沢池の風景を原点として自然の風景をいけあらわす景色いけがあり、連続した水の流れが風景を作るという発想が嵯峨御流独特であることをお伝えした後、自然の風景をいけあらわす景色いけにより継承されて来た大沢池の風景をいけた『庭湖の景』の紹介事例を発表致しました。
愛宕神社の愛宕大権現、野宮神社の野宮神社大明神をお祭りする嵯峨祭りは450年以上の歴史があり1537年の文献に記述が見られる古いお祭りです。祭神が二社、神輿も二基ある事や、お祭りの主催が江戸時代まで大覚寺・清涼寺(棲霞寺)などのお寺だということが他と違う特徴なのです。
二基のお神輿は清涼寺の前を通り大覚寺に到着し、そこで儀式が行われます。大覚寺勅使門を五基の剣鉾がくぐり抜け、神輿の担ぎ手と2基の神輿は勅使門の前で大覚寺僧侶の読経と神社の祝詞の両方、神仏習合の形で清払いをお受けになります。大覚寺を出た後は、五基の剣鉾(オモダカ、リュウ、キリン、キク、ボタン)が「りん」をならし、神輿が通る為に邪気を払いながら一日かけて嵯峨一帯を練り歩くのです。
毎年、第四日曜日。お旅所出発は10時。大覚寺到着は11時50分。町内を練り歩いてお旅所へ戻るのは17時。
お祭りの法被には、大覚寺の寺章「嵯峨」の山山を上下に重ねたものがつけられています。
5月26日。嵯峨御流大田司所創立40周年記念華展を拝見しました。
島根県大田市の大田市民会館中ホールで、5月26日・27日に開催された華展を拝見しました。
特に、会場の多くの部分を割いて展示されていた、「景色いけ・七景」は、水の循環により綿々と続いている大自然の生態系の特徴的な景色をいけばなで表現するものです。深山を源として発する水が森林を育て、野辺を潤し、池や湿地にとどまり新しい命を発生させ、やがて河川となり豊かな水量となって大海に流れ込むまでの特色ある風景を、深山の景、森林の景、野辺の景、池水の景、沼沢の景、河川の景、海浜の景、の七つに見立てて水盤にいけ表します。
実際にいける過程においては、特に水の流れが織りなす動的な姿を重視し、「水の取り方」に重点を置いて景色いけが出来上がっていきます。
大田司所の所在する豊かな自然の中で、会員の皆様が実際に目で見て感じた、愛着のある風景を再現されているのがよく伝わってきました。
もちろん、景色いけ以外にも、嵯峨御流の古典の伝承花から色彩豊かな現代花まで、会員の力作が展示されていました。
4月9日に起こった島根県西部地震で最大震度5を観測したのは大田市でした。今この時期に華展を開催することに司所長は懸念されていましたが、会員の意思で開催することができたという事です。
私は、開場間も無く、ご近所の方々が男性も女性も大勢ご来場され、楽しげに花を見ておられる様子に接して、いけばなは心に光をもたらしてくれるのだと痛感いたしました。
「日本いけばな芸術特別企画 in 彩の国」前期5月24日から25日の嵯峨御流出品作品