いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

9月26日。ガラス作家 高臣大介さんの展示会に伺いました。

大丸京都店で開催された、北海道のガラス作家 高臣大介さんの展示会を拝見しました。
洞爺湖にある工房<gla_gla>で、無色の吹きガラスを追求し続けておられる方です。
2017年2月26日、嵯峨御流北海道地区連絡協議会主催の公開講座が札幌市内「北海道立近代美術館」で開催され、舞台でデモンストレーションをさせていただいた時に、花衣桁に飾る器を作ってくださったのです。
公開講座の日は雪景色で、舞台が終わると吹雪になっていたのを懐かしく思い出します。先生方と一緒にいけた、3.5mもの高さの蝦夷松を使った景色いけ「深山の景」、ハルニレを用いた「森林の景」、そして「花衣桁」のデモンストレーションでした。
公開講座のテーマは「大切にしたい北海道の風景」!深い雪に覆われた蝦夷松の林へ、膝まで埋もれながら見に連れて行って下さった事などが大変懐かしく思い出されます。。。

月刊『嵯峨』取材で、美術館訪問の機会を重ねて思うこと。

紙面がA4サイズと大きくなり内容もリニューアルしたのは2019年4月号から。編集に携わる職員の方々や華道の先生方の尽力で、毎号熱い想いを込めて制作されています。
工夫されているのは、いけばな作品の写真は大画面で見ることができ、文字よりビジュアルに重点を置いた25ページ構成になっていること。全国の司所活動のページは詳細をホームページで見ていただけるようにして紙面にはダイジェスト的に紹介するというホームページとの併載により充実度をはかっています。また、井上治 嵯峨御流学術顧問には書き下ろし論文をシリーズでのせて頂いています。表紙は、今年度のシリーズは大覚寺貴賓室である秩父宮御殿の襖絵で、この場所には滅多に入ることができませんので大変貴重な写真として永久保存したいものですね。
美しい本ですので、ご友人などにお広めくださいませ。

 

<秩父宮御殿>
ー2021年4月号p25より引用ー
秩父宮邸は秩父宮殿下のご住居として昭和2年に現在の秋篠宮邸地に建設され、昭和16年には日本館と呼ばれる木造平屋建の付属棟が建てられました。昭和20年5月25日夜半からの東京大空襲で住居は消失しましたが、幸いに日本館は火災を免れました。その後、大覚寺寺号勅許1100年記念に際して昭和46年に大覚寺に下賜され、貴賓館とされています。内部は3部屋からなり、大覚寺に移築されるに伴って土居次義、松元道夫、林司馬、吉田友一らによって四季折々の草木や野鳥の襖絵が描かれました。


<対談や美術館訪問の機会を重ねて思うこと>
リニューアル以来、読者の皆様に是非ともご紹介したい、美に関する事やご縁のあるお人や場所、主として美術館などを、私が現地へ伺って直接取材させて頂く形のページを頂いております。
「話の双葉」シリーズではお会いしたい方、お話を伺いたい方との対談。
「美に迫る」シリーズは、京都へこられたらぜひお立ち寄りいただきたい美術館などをご紹介。
今年度からは「美を支える人々」シリーズ。魅力ある美術館や場には、その場を創り支える情熱を持った人の力があればこそ!鋭い感性を感じる伝え方や見せ方、創意と工夫が凝らされた展示により、新鮮で強烈な感動が湧き起こります。

 

<守破離>
シリーズ取材で、佐川美術館を訪れた時「守破離」と書かれた扁額に出会いました。守破離は千利休の「規矩作法 守りつくして 破るとも 離るるとても 本をわするな」から来た言葉で、芸術全般にも通じる事です。
いけばなは型があるから面白くて奥深く、喜びは尽きることがありません。大自然の理を一瓶の中に表し、自然と同化するかのような境地に至ることも。

モノクロームの世界に紅一点

大沢池に咲く蓮「名古曽」の名残の一花。
大覚寺の御池を美しく保つ作業をされた9月9日に、職員の方に無心して一花採ってきていただきました。
艶やかで大きく、その香りは心身ともに癒してくれる清涼感があります。

今年、大覚寺・華道総司所で企画していたSummer college☆では、この蓮をいけて皆様にご覧いただくつもりでした。
さらに、9月19日〜21日の観月祭も、コロナ緊急事態宣言期間延長のためやむなく中止となりましたので、まだ池に少し咲いている名残の名古曽をご覧くださいませ。
まだ蕾ですが、両手のひらからこぼれそうなほど大きい花です。

婦人画報「名刹、大覚寺と京都ブライトンホテルで秋の京都を堪能する」企画

婦人画報を見ていましたら、10月号本誌10月p78・79に「名刹、大覚寺と京都ブライトンホテルで秋の京都を堪能する」企画が掲載されていました。夜の大覚寺を舞台として人気太夫の竹本綾太夫さんによる素浄瑠璃を聴き、僧侶の方から御法話を頂くというもの。
夜の大覚寺を拝観する機会は滅多になく、私も昔、ある機会に鮮やかにライトアップされた狩野派の「紅梅の間」の障壁画を村雨の廊下から中庭越しに拝見して、その美しさに感動した記憶が今も蘇ります。。。

8月20日 大覚寺「宵弘法」

今月、特にお盆から昨日まで、日本各地で大きな被害や不安をもたらした記録的豪雨で、京都も昨日までは大雨続きでしたが、8月20日はようやくお日様を拝むことができました。この日18時から、恒例の「宵弘法」が執り行われました。コロナの緊急事態宣言下やむなく宵弘法へのご参拝は中止とされ、祭壇などすべてのご準備を整えられた大沢池畔において、職員の方だけが見守られる中、朗々とした声明・厳かなお読経の声が響きました。
空が薄暮の色へとうつろう頃、静かな水面に映る「嵯峨の送り火」とともに精霊をお見送り。
寂しくも美しい景色。

Summer college☆

コロナ禍を何とか乗り越えるためには、自分の身と他の人の身を共に守る行動をとらなくてはなりません。今は人の往来を止めて、感染拡大を抑えることを第一に考えましょう。
さて、8月20日から9月12日まで、京都にも緊急事態宣言が出ましたのでこの期間の総司所諸行事を中止または縮小、Summer college☆も中止となりました。

Summer college。嵯峨御流の総司所会員の方はもとより、会員以外の方もご参加いただける、年に一度の企画で、既に様々な準備が進んでいました。テーマ「かみとはすのものがたり」に込められたストーリーは、紙=神に通じる事から、世界的に著名な和紙作家堀木エリ子様のお話に始まり、蓮をいけるいけばなデモンストレーションで仏の世界を表現。デモの最後の一瓶で神仏融合の世界を表現しようと考えていました。


皆様に、此の企画の世界観に浸っていただき、楽しんでいただけることを、と想いながら、華道諸先生方や職員の方々が、汗と情熱をかけて様々な準備に奔走して下さいました。紙の原料であるミツマタ・コウゾを、生産者の元まで足を運んで入手し、大量のそれらを川で晒してアク抜きし、植物が紙=神へと変貌する大作オブジェ製作の段取り、また紙漉きのキットのワークショップのシミュレーション、蓮の種の袋詰め、などなど。。。


今回は残念でしたが、仕切り直して、このたびご縁をいただいた堀木エリ子様のお話を伺う機会を作りたいと思っています。

7月20日。近江へ妙蓮に会いに行く

妙蓮。この不思議な蓮の花は、雄しべも雌しべもなく花弁だけでてきています。滋賀県守山市に、室町時代から600年もの間大切にされている蓮。
蕾は見かけは普通の蓮と同じですが、開花すると次第に花弁の数が増えて2000枚から8000枚を越すものさえあるとのこと。双頭蓮ともいわれて、1茎2花から12花まであるそうです。
しかも、普通の蓮は4日間で咲き終わりますが、妙蓮の花は少しは花びらを落とすものの、2週間から20日間咲き続けて数千枚の花びらを散らさず茎についたままで枯れる、という不思議な蓮です。
妙蓮は、珍しいという事と、瑞兆であると喜ばれ、室町時代から将軍家へ、また将軍家を通じて天皇家に献上されてきたと、資料館の文献に書かれていました。東福門院の庭にも植えられたとの記述も拝見し、ご一緒した喜和田龍光財務部長様が、「大覚寺にもご縁のある蓮なのですね」とお話しになられていました。

8月大暑の候。大覚寺五大堂で写仏をさせていただきました。

わたくしは時折り、大覚寺 五大堂で写仏をさせて頂いています。一本の線をスッとひくのはたいそう集中力のいる事です。でも、写し終えると心が爽やかな気持ちに満たされます。
今日は阿弥陀如来様の写仏をしました。いつもながら下手なのですが、ある方の病気平癒を願って誠心誠意でお姿をなぞり、お供えさせていただきました。

華道総司所は8月16日まで夏季休暇となります。8月28日にはSummer college「かみとはすのものがたり」を開催しますので、ご参加の皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております。

猛暑のみぎり、皆様がお健やかにお過ごしくださいますことを念じております。

7月14日。第三回「新いけばな主義」を拝見しました。

 

7月14日。神奈川県民ホールギャラリーにて、第三回「新いけばな主義」を拝見しました。

 

「阿やかれや 長刀鉾の 籤とらず」

令和3年の祇園祭は、昨年に続き、コロナ対策のため山鉾巡行など人の集まる行事は見送られるようです。でも7月は1ヶ月を通じてお祭(お祀り)の神事や行事があります。また、祇園祭が疫病退散を祈るお祭りであることから、古来より厄除けに檜扇をいける慣わしがあり、各家々や店先に飾られています。

 

あやかれや
 長刀鉾の
  籤とらず

 

山鉾が街中を浄めた後で神輿が通り過ぎる、その時、風が通りぬけたような気配を思い出しながら、今年も檜扇をいけます。

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