いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

ジェスモナイト掛花器の作例

9月9日「ものづくり講座」の記事はこちらをご覧ください。
 
この日、華道芸術学院の教室ホワイトボードを壁に見立てて、いろいろなフックに掛花器を懸けた作例や、卓上に置いた作例などが飾られていました。華道企画推進室の先生方によりいけられた花とのコラボをご紹介します(写真は楠林先生撮影)。

9月10日姫路へ。「兵庫県いけばな展 姫路市会場」を拝見に。

「アクリエひめじ」で開催された「兵庫県いけばな展」を拝見しました。実行委員長を村上巨樹先生がつとめられています。この華展には兵庫県内のすべてのいけばな協会が参加されているようでした。
今年は兵庫県いけばな協会創立70周年記念ということで、特別な行事となっているようです。
出品作品の中から、嵯峨御流の作品14作をわたくしの撮ったスナップ写真でご紹介させていただきます。

 

 

9月9日。嵯峨御流華道総司所企画講座「ものづくり講座」で、掛け花器を制作

嵯峨御流では、華道総司所企画としてジェスモナイトを用いた花器の制作を嵯峨美大芸術学部デザイン学科教授 楠林 拓(くすばやし ひらく)先生にご指導いただいています。シリーズ3回目は掛花器をご指導いただきました。
2年前の第一回目に制作ご指導いただいた器は今もわたくしのキッチンに飾っていて、少しも色褪せずしっかりしたまま。
今回は掛ける仕掛けを楠林先生が考えてくださり、誰でも、そして割とどんなフックにもしっかり掛けられて安全な器具をご検討の上ご用意下さいました。
いつも大変ご丁寧なご指導と、この上なく緻密に考えられた制作ツールのご準備と、3Dプリンターで先生デザインの型紙をご用意いただきましたおかげで、一日の制作で全員が完成して持ち帰れて、自宅で早速使うことができました。
花器の色は自由に選べる中で、わたくしは楠林先生が考案されたオリジナルの、ある物をジェスモナイトに混ぜた塗料で制作しました。
この色は、今はグレーに見えますが時間の経過にしたがい色が変化していくのが興味深いところです。
 
早速家に持ち帰って、トルコ桔梗、いちご草を、いけてみました。

大阪駅で「ミャクミャク」をデザインしたマンホールのふたを発見しました。

大阪駅で、2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」をデザインしたマンホールのふたを発見しました。
「清い水」を表す青色の部分と「細胞」を表す赤い部分が一体となったキャラクター「ミャクミャク」はかなりのインパクト!です。
大阪・関西万博は、2025年4月13日から10月18日ですね。

京都府立植物園は来年100周年。 ロゴマークは元嵯峨美大教授の池田泰子先生が制作されました

京都府立植物園は2024年1月1日に100周年周年を迎えられます。その記念ロゴマークを嵯峨御流デッサン講座で昨年講師をしていただいた池田泰子 元嵯峨美大教授にデザインを依頼され、3点の案が公開されています。
3点の中から皆んなで1点を選ぶようになっていて、投票の方法は京都府立植物園のホームページから、「あなたが選ぶ!100周年ロゴマーク」をクリックしていけば、池田先生がそれぞれのデザインに込められた想いを見ることもできます。投票は既に開始されていて9月10日17時までとなっています。直接植物園の正門、北門それぞれの投票箱にも入れることもできます。わたくしも、迷いながら一票を入れました。

 

京都府立植物園 Kyoto Botanical Gardens/京都府ホームページ (pref.kyoto.jp)

 

令和5年8月20日。「嵯峨の送り火 宵弘法」

夕刻、宵弘法の準備が始まりました。大覚寺大沢池に迫り出すように設えられた祭壇、池の中央に組み上げられた舞台に送り火の用意、そして屋形船が出て灯籠が池に浮かべられて行きます。
18時から五大堂で供養法会、19時から池に迫り出した祭壇で施餓鬼法会が行われました。
法要が進むと、池の中に設えられた舞台に、船から火が灯されます。火はたちまち大きな炎となって火の粉が舞い上がり、その光は池の水面にも映り込んで、辺りは荘厳な炎の輝きに包みこまれるようでした。
法要が終わってからもしばらく送り火は小さくなりながらも灯り続けていて、灯篭は静かに漂う。人々が去ってしんとした気配に戻った夜の大覚寺には、格別の趣があります。

夏ならではの蓮。1日限りの贅沢

8月19日。

京都のお社中の方々との年に一度の夏の集いが、コロナ禍のため休会続きでしたが4年ぶりに開催されました。
宴席にて、会員の方が手塩にかけて育てられた蓮と秋草の数々を持ち寄って下さいましたので、夏ならではの蓮の荘厳華などをいけて、再会を喜び合いました。
取り合わせには、嵯峨御流荘厳華の伝書「真の巻」に描かれている紫陽花などを交え、蓮の薫香につつまれる中、酷暑も日常もしばし忘れて、1日限りの花を通じて贅沢なひとときを分かち合う事ができました。花を生ける瞬間、見つめる皆様の呼吸が静かに一つになっていくようで、えもいわれぬ豊かな気配を感じました。いけばなの世界をともに歩むお花のご縁を改めて有り難く思います。

8月20日は、大覚寺「嵯峨の送り火宵弘法」にお参りに行きます

毎年8月20日17:30から20:00、大覚寺大沢池では、お精霊様をお送りする送り火の行事・宵弘法(万灯会)が行われています。
写真は、わたくしが数年前に撮った送り火法要の情景です。今年も19:00から大沢池畔で厳修されます。
 
一昨日の8月15日に、関西テレビ「よーいドン!」15周年スペシャル番組として夜2時間放映されたなかで、大覚寺宵弘法が紹介されました。そして、続いて紹介されたのは村雨の廊下。柱を「雨」、直角に曲がる廊下を「稲妻」に見たてて命名されたこの廊下は、なぜ天井を低く作られているか、柱が多い訳などについて、クイズ形式で解き明かされました。
「Q、なぜ天井が低く作られているか」明治時代まで天皇または皇統の方が門跡をつとめられた寺院なので防犯が行き届いていたため、天井が低く柱が多いのは「刀や槍を振り上げにくいように」が答えで、さらに防犯のため床が鶯張になっていること。そしてもう一つのクイズ「Q、村雨の廊下に隠されたもう一つの防犯用の仕掛けとは」答えは、「欄干の一番上(の棒)がとれて武器になる」です。咄嗟の時には欄干の一番上の棒を掴んで応戦できるようになっていた、と。今は釘で留めてあります。

8月9日。京都市地域女性連合会の夏期講座で講演をさせていただきました

京都アスニーで開催された、京都市地域女性連合会の夏期講座には150名ほどの会員の方々がお集まりになり、会場は後ろの端まで満席、ご盛会でした。
わたくしは、「いけばなで自然環境を守る」のテーマで1時間半の講演と、話の中で景色いけ七景のうちから「深山の景」「沼沢の景」をいけさせていただきました。

「いけばなで環境を守る」とは、美景観をスポット的に守るという考え方ではなく、日常目にするごく身近な風景に美を見出すという考え方です。いけばな嵯峨御流では、日本の美しさは「生命を育む水の流れが、深山から流れ出て海辺に行き着くまでの連続した変化によって生み出されるもの」であるとし、それら深山から海浜までの風景「七景」によって表現される「景色いけ自然態応用七景三勝」を昭和6年に発表しました。
大事な事は、環境・風景は人と自然との係わりあいによって保たれ、かつ七景は、どれ一つ欠けても日本の自然環境、生命観が欠けてしまうものであること。
いけばなとは、「自然と共にてをつなぎ自然をわが心のものにしたいという、その必然的欲求」から生まれた、日本独特の文化だということです。いけばなは日本特有の、五感を通じた自然とのふれあいで生み出される精神と自然美の融和の心の育成の必要性を説いた、まさに次世代に残したい「未来へのメッセージ」であるといえます。
この意味において、SDGsの到達目標の一つである世界の環境問題に対して、「美しく豊かな地球」を未来に継承していくため、世界各地の人々と絆を強めながら美しい地球の原風景や、水と人々との関わりから生み出される素晴らしい景観を未来に引き継いでいくための活動の第一歩として、自然を慈しみ関心を持つ心を、家庭の中で育むことが、ひいては地球の環境保全へとつながっていくと考えています。

 

皆様、残暑厳しい中にもかかわらずとても熱心にご清聴くださいましたこと、このような機会をいただきましたことに心より感謝しております。

2023年7月30日 Summer College☆

7月30日は華道芸術学院で、嵯峨御流SummerCollege☆が開催されました。
朝、1人で大沢池畔を歩き、天神島の北側に咲く白蓮の清らかな姿を見てまいりました。
今年のSummer College は、「伝統を未来につなぐ」をテーマに基調講演、デモンストレーション、奉書いけの実技で開催されました。
大覚寺教務担当執行 竹原善生僧正の講演は、「寫瓶~師から子へ~」。
デモンストレーションは、宝器七種「草」。
担当は辻井ミカ華務長、青野直甫華道企画推進室室長、村上巨樹華道芸術学院長、谷田緑甫いけばな文化綜合研究所長。
実技の奉書いけは、河骨で、受講生は水揚げから学ばれました。切花用の水揚げポンプを使うのが初めての方もおられました。
受講されたみなさまへ。
水揚げにはミサキという液体を希釈して用いましたので、ポンプ使用後はぜひポンプの中を水で何度も流し、液剤が残らないようにしてください。

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