いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在 嵯峨美術大学評議員、日本いけばな芸術協会理事、大阪府花道家協会常任理事、いけばな女流選抜作家展運営委員、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

一日一華。5月4日「みどりの日」。~マツの緑を守る~

5月4日はみどりの日です。華道芸術学院前の花供養塔の南庭に10年余り前に植樹された<マツクイムシに抵抗性のある「抵抗性マツ」>について少しお話しします。

 

 このマツは、植樹されて以来10年余りの間にすくすくと大きく育ちました。

 植樹式は、華道芸術学院教授100名余りが見守る中、当時の理事長黒髪寛延僧正と華務長長谷川喜洲先生、嵯峨御流の指導者である教授の代表者によって2009年6月25日に行われました。当時日本中が、マツクイムシによる深刻なマツ枯れ被害に悩んでいた時期で、大覚寺では最高十数本が一度に枯れた年もありました。

 神仏の拠り代ともされてきた松・そして風光明媚な嵯峨野さらには京都の風景にとって命である松・それを今、人の手で守らなくてはならない!こうした思いで、伝統文化に携わる私共いけばな嵯峨御流の教授一同は、京都府が研究開発された、<マツクイムシに抵抗性のある「抵抗性マツ」>を植樹し、松の風景を守るという意識を形にあらわしていく第一歩としたのです。このマツの健やかな成長を見守りつつ、嵯峨野そして京都ひいては日本の風土が美しい松の緑で覆われた風景を取り戻すことのきっかけとなることを願いました。

 

Stay homeで自粛を続ける日々、嵯峨御流に出入りの花屋さんがわざわざ色とりどりの花を届けに来て下さいました。その気持ちに感動・心が熱くなりました。

今年4月の華道祭が行われていたら、一面桜色に彩られていたこの庭が皆様を楽しませてくださったのですが、、、コロナを収束させて、来年は2年分の華道祭を華々しく行いたいものですね。

 

百合・シャクヤク・ラクスパー。

 

一日一華。5月2日。富貴花。

「百花の王」「花王」「花神」「富貴花」これらは皆牡丹の別名。中国原産のこの花は、8世紀過ぎから長安の都で大変もてはやされたそうです。

この頃遣唐使で長安の都を訪れた空海もきっとご覧になられたはず。

時  5月2日
場所 辻井家 玄関
花  牡丹
器  ボヘミアンガラス、信楽焼下蕪

 

一日一華。5月1日。 草陰に戯れる野兎と紫蘭

時  5月1日
場所 大覚寺 正寝殿
花  紫蘭
器  嵯峨好み「麗」
 
大覚寺正寝殿の障子腰板絵の兎の絵は、江戸時代の幼い門跡のために渡辺 始興によって描かれたもの。草陰に遊ぶ兎は全部で19羽描かれている。

「花は生きている」

家に誰かがいて、自分が出かけるときに「行ってらっしゃいませ」と声をかけてくれるだけで心はあたたかくなる。家に帰ったら「お帰りなさいませ」と声が聞こえてきたら、それだけでホッとする。
花は生きている。だから玄関の花は、そう語りかけてくれるように、心があたたかくなる。

時  4月30日
場所 大覚寺明智陣屋 玄関
花  黄金孔雀檜葉

 

 

一日一華。4月30日。

景色いけ「沼沢の景」を、正寝殿の腰障子に描かれた沢瀉(オモダカ)の前にいける。


沢瀉の絵を見ていて、大覚寺の祭として始まった「嵯峨祭」の「沢瀉鉾」の事を思い出しました。今年は、450年以上の歴史ある嵯峨祭の神幸祭(5月第3日曜)・還幸祭(第4日曜)ともに中止となり、残念でなりません。

例年、還幸祭では愛宕神社・野々宮神社の二基の神輿が五つの剣鉾(沢瀉鉾、菊鉾、麒麟鉾、牡丹鉾、龍鉾)の先導で魔を払いながら大覚寺へ到着します。普段は使われない勅使門が開かれ、神職による祝詞と、僧侶による読経が行われたあと、剣鉾と神輿は嵯峨一帯を練り歩くのです。

 

一日一華。4月29日「昭和の日」。

大覚寺安井堂にて荘厳華を立てる。花をいけている時間は、無心になれる。
境内の牡丹や躑躅の鮮やかな色に、心まで染まる思いがする。

 

一日一華。4月28日。

大覚寺 村雨の廊下にて。
5月6日までは、僧侶の方々のみがお通りになる場所であることから、花の取り合わせは、濃紫と白にしました。

かさねの色目「紫の薄様」に想いをいれて。紫の薄様とは、平安時代の女房装束の袿のかさねの色合いの一種で、上から紫・薄紫・濃い白・薄い白さらに淡い白、と徐々に薄くなるグラデーションを表すという。

 

一日一華。4月27日。

大覚寺明智陣屋にて。
ここはもと明智光秀の陣屋が大覚寺に移築されたもの。コロナウィルスの緊急事態宣言のもと5月6日までは閉門されて、昼でも暗い。
しかしながら、寺内では少数の方々が交代でお寺と総司所を守っておられる。

磨き込まれて黒光りする廊下には、やがて復活の陽の光が眩しくさしこみ、大勢の職員さん、華道の先生や受講生の皆さんで賑わう事でしょう。
それまで、じっと我慢です。

花材 サツキバイ ヒペリクム
花器 嵯峨好「ぽんぽん」

 

「花は生きている」

タイトルは、辻井弘洲の遺語の一節です。

花は生きている
花から話しかけられることもあれば
花と語りあうこともできる
花を生けるとは
花の持つもっとも美しい和合の姿を見出すこと
である

この言葉の中に、いまコロナで花を求めにいくことさえままならない状況にあって、どれほど花が身近にある事がかけがえのない事かを、改めて実感する機会となりました。
花がもたらしてくれるもの、それはあまりにも人の暮らしと密接で、人に活力を与えつづけてくれる大きな力です。
いま、庭や自然に目を向けて、自然を慈しむ心を自分なりに花に託してみましょう。
家の中に命が輝き、活力が湧いてくることと思います。自分に力が宿れば、他者を助けること守ることに想いを馳せる事ができるように思います。

写真は動画の一部です。もしよろしければ、こちらの動画をご覧下さいませ。

花は生きている:春編

 

一日一華。4月26日。

窓辺にいけた小さな花。小さくとも、花があれば、そこからは微笑みに似た波動が発せられているようだ。

波は心に伝わり、活力を奮い立たせる。

 

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