幸い雨は降らず、19時から門跡猊下お導師のもと、観月台にて法要が行われました。ご先祖様に手を合わせながらも池の水面にゆらめく灯籠の灯りに見惚れていると池の中央の護摩壇に火が入り、みるみる大きな火焔となります、声明とお読経の響に呼吸を合わせるかのように。
やがて山の端から大きな満月が昇って行き、池にも月が映って奇跡的な美しい光景となりました。どんなにお写真と言葉でお伝えしたくとも、この響と炎の感動は伝えようがありません。
8月16日。日本全国でご先祖様の精霊を送る行事が行われていることでしょう。
京都は五山の送り火で精霊(おしょらいさんと地元の人は言う)を送ります。今年は知人のご厚意で、高層階のご自宅から見せていただきました、感謝です。
嵯峨からの大文字はこんなに小さく、鳥居型はかなり大きくはっきり拝むことができます。
私にとって、お盆は8月20日夜19時から大覚寺大沢池での宵弘法の行事で終わります。この日19時から、池で法要が行われ、池の中央の護摩壇の大きな炎を拝み、灯籠を浮かべてご先祖様をお見送りします。
一昨年の宵弘法の様子はこちらをご覧くださいませ。
炎暑が続いておりますが、祇王寺の苔庭に一歩足を踏み入れたとたん、そこは別世界です。瑞々しい苔庭に涼風が冷んやりと肌を撫でてくれますの。
こんなとっておきの場所が嵯峨野にはあることを、皆様に改めてご紹介したいと思います。
8月6日にひろしまで花をいける 「国境の無い花たち展」
コロナの間はインターネットで発信されていましたが、四年ぶりに広島の神屋町シャレオ中央広場での開催となった「国境の無い花たち展」。今年も出瓶させていただきました。
いけばなインターナショナル広島支部と、国境の無い花たち展実行委員会によるこの催しは、ジャンル・年齢・所属を超えて「平和を願う」というテーマのもと参加した人々のいけばな作品を展示される1日限りの花展です。
花に平和と友好の気持ちを託し、一つ一つの花をいけながら一心に平和を願う、尊い時でございました。
わたくしの作品は糸芭蕉と美人蕉の生花です。沢山の出品者の中、嵯峨御流の方々の作品を併せてご紹介します。
7月28日。Summer College☆2024
華道総司所主催、華道芸術学院で開催された今年のSummer College☆は「シン・日本をいける」のテーマで、基調講演に環境共生学博士白砂伸夫先生をお迎えして「環境といけばな」のご講演をいただきました。白砂先生は、気候危機といえる現代の環境問題の深刻さと、地球という奇跡の星の近未来を救うのはいけばな、特に景色いけの発想であるという大変興味深いお話しでした。嵯峨御流の景色いけは、他にはない嵯峨御流独特の花態で、山から海まで連続した水の流れが生み出す自然の風景を特徴ある7つの水の取り方に分けて、美しくいけるのみならず根底には命 水すなわち命は連続した系の中でいきいきと存在するという発想が特徴です。
いけばなデモンストレーションは小題を「清風在竹林」として大覚寺大沢池の風景を景色いけの型に見立てて、ご覧いただきました。大覚寺竹林の竹を舞台全面に配し、向かって右には竹林の野辺の景、向かって左には蓮と睡蓮で沼沢の景。
舞台の大きな景色いけを見ていただいた後は、この度復刻して販売される、極小さなミニチュアの七宝一組を用いて、可愛い水草や野の草花を食器やお皿を花器に見たてて、小さくてお部屋にもおける景色いけをご紹介しました。
実技では、嵯峨御流伝書の初伝と中伝にも出てくる、嵯峨好「夢窓」の竹器を想い入れながら、大覚寺竹林の竹を用いて、各々ノコギリとノミで窓を穿つ実習をしました。
出来上がった自分の竹器に、各自風情よく5種類の秋草をいけて、とても楽しそうに実習されていました。
年に一度、総司所が総力あげて全国からの受講生をむかえて行われるこの企画、今回基調講演を含めての「シン・日本をいける」は、令和8年に大覚寺寺号勅許1150年を迎えるにあたり、華道事業として令和8年4月に行われる大華道展「シン・日本をいける」開催に向かっての示唆的内容となりました。
徳島市内のJRホテルクレメント徳島で開催された記念華展を7月20日に拝見しました。
会員が力を合わせて創り上げられた作品の数々は、美しいだけではなく力強い自然の息吹に満ちており、それらの作品を通じて会員皆様の活気と熱意が伝わってくる、素晴らしい華展でした。この勢いを契機に益々のご活躍を祈念いたします。次の大きな節目創立100年の華展が楽しみでございます。
7月22日。夕立の後、愛宕山に光が差した瞬間。
「祇園祭にいける いけばな展ストリートギャラリー」
7月15日から17日まで、祇園祭に因む花を、四条河原町交差点から四条通りの北側を100メートルほど西へ歩いたところにある、「十三や」さんにいけています。
八坂神社の鷺舞をイメージした作品です。
花材は、桧扇・晒しビローヤシ
お祭りにお越しの際にはぜひご覧くださいませ。
池に竜頭鷁首の船を浮かべて舟遊びをされた平安時代の天皇様の御殿を想像することができる風景が、京都嵯峨「大覚寺」です。『光る君へ』ファンの皆様はお立ち寄りになられてはいかがでしょう。
池の北側には、藤原公任が
「滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ」
と詠まれた名古曾の滝跡の石組みがあります。
源倫子や藤原彰子に仕えた女流歌人の赤染衛門は、
「あせにける いまだにかかり 滝つ瀬の はやく来てこそ 見るべかりけれ」と詠みました。
(勢いが衰えてきた今でも、岩にかかる滝の流れを人は早く見ておいた方がいいと思います)この歌からすると、衰えて往時の音は聞こえないが、少しは流れていたことが伺えます。
そして嵐山は嵯峨のすぐ隣。大覚寺前から28番京都市バスが嵐山に直結していますが、歩いてでも行けます。
平安時代にできた、今は渡月橋と呼ばれるこの橋、嵯峨天皇が離宮嵯峨院から法輪寺へ虚空蔵菩薩を拝まれる行幸に際して架けられた事から、元は法輪寺橋、やがて御幸橋(みゆきばし)と称されたと、法輪寺御住職にお話を伺いました。古書にも記されています。
7月8日東京 大正大学2024年度仏教学基礎ゼミナールにおいて講義をさせていただきました。
大正大学仏教学部で講義をさせていただきました。演題は「いけばなで自然と命の大切さを学ぶ」。
写真は、デモンストレーションでいけた「景色いけ『深山の景』『野辺の景』」「そわかを用いた『荘厳華』」「瓶花」を仏教学科の事務室前に飾ってくださったものです。