1月末に、沖縄から満開の寒緋桜のお便りをいただきました。
沖縄から、満開の寒緋桜のお便りをいただきました。毎年、沖縄の先生がご自分のお庭の桜が咲くと一番に総司所へ届けてくださるのです。
京都は極寒の時期でも、日本のどこかにもう桜が咲いていると思うだけで心に明るい希望が満ちていくように感じます。
南北に長い日本列島には多様な気候帯があり、沖縄は亜熱帯、九州から関東にかけての暖温帯、関東以北は冷温帯、北海道は亜寒帯、と主に4つの気候帯が存在し、植物は約6000種類もの高等植物が生きる多様な生態があります。
多様性は豊かさの証、豊かさの源は、水が豊富であること。そして日本の至る所美しい風景が存在するのは、山から海への水の流れが連綿と滞ることなく流れ続けていることです。さらに、自然と人の関わり合いが日本の文化となり、いけばなという日本固有の文化を生みました。
1月大覚寺。お正月を祝ういけばなが、諸堂や供待など寺内の随所に年末から一月中旬まで飾られていました。年末の忙しい時期にもかかわらず挿花に携わってくださいました嵯峨御流の先生方のおかげで、いきいきとした花が堂内に新年の喜びを伝えていました。
1月5日には、新年拝賀式晴表式が、本来の形式に戻り大覚寺内御影堂で行われました。御影堂の凛とした厳粛な気配の中、大覚寺や華道総司所の役職者など数十名が参集し、献花式で始まり、門跡猊下からのお口祝い、大覚寺・華道・嵯峨美術大学代表による賀詞言上、と儀式は粛々と行われました。自分自身も法要に参列する中で今年一年の精進を誓いコロナの終息を祈りました。
さて、宮内庁では、1月15日に開かれる予定だった歌会始が、コロナ禍を鑑みて延期となることがホームページで発表されています。来年の御題の発表も延期ということですので、今は日本国民が皆で我慢する時だと心して、この災いを克服するために私共も日々謙虚に過ごして参らねば、と思います。
さて、本日は1月21日。松の内が過ぎましたので門松や七五三の若松などは取り外されましたが、供待の迎春花、特に梅の花は今二分咲きで、これからが見頃となります。明日からは、日ごとに膨らみを増す宸殿前の「左近の紅梅」がいつ開花するかが楽しみに待たれます。
6434人が亡くなられた阪神・淡路大震災から26年目の1月17日。美しい仏様の姿を写仏させていただきました。阪神・淡路大震災で被害に遭われた方々への追悼と、コロナ終息の祈りを込めて小一時間、無の境地でひたすら仏様のお姿をなぞる。その後、大覚寺塔頭 祇王寺へ。
冬枯れの楓の枝と瑞々しい苔の対比が美しく、
美しいものに出会うと、人の心には活力が湧いてくるのだと実感しました。
コロナ禍で11府県に緊急事態宣言発令中ですので、総司所の授業は2月7日まで休校となりました。その間も、総司所から送られた花材で、受講生の皆様が美しいいけばなをお家に生けておられる事と思います。
花があって救われる日々です。。。
うめだ阪急コンコースウィンドー迎春花2021。1月13日まで展示中。
毎朝、開店前に約15名の方々がメンテに入ってくださっています、当然私も。嵯峨嵐山駅を出るときには朝陽を浴びて神聖な気持ちになります🙏
心の中で、「今年が、コロナが終息に向かい世界の人々が平和な暮らしを取り戻せますように。そしてこの禍を転じて福となすためにも、この禍から得られた知恵を謙虚に生活に生かせますように」と祈りました。
ところで、迎春花に関する動画やテレビなどのお知らせです。
①うめだ阪急が作成された、メイキング動画約1分
https://youtu.be/0fKHNk5R0BQ
②阪急がプレスリリースした記事をインターネットで配信されています
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000766.000014431.html
③1月5日放送のABCテレビ「キャスト」で放送される予定です。
https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_20792/
https://www.asahi.co.jp/cast/
1月2日。京都駅でジャパンスピリッツ31流派の作品を拝見しました。
https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_20543/
1月2日。京都駅でジャパンスピリッツ31流派の作品を拝見しました。1月5日まで、京都駅2階の改札前からホテルグランヴィア京都前のタクシー乗り場前広場にかけて、屋外に展示されています。華やかで力強い、いけばな作品に込められたメッセージを感じることができます。ぜひご高覧を!写真は、嵯峨御流垣花悦甫先生の作品です。
12月27日から1月13日までうめだ阪急コンコースウィンドー迎春花2021が展示されています。
JR大阪駅、阪急阪神梅田へお越しの際には、ぜひご覧くださいませ。
嵯峨御流100名が力を合わせて、26日の夜にいけこみをしました。
今回は、難敵に打ち勝つ未来へのメッセージを、いけばな作品で表現しました 。
1号
『一陽来福( いちようらいふく) 』
迎春花に込めた想いは、人々が一つになる世界の実現のために」新しい日常の中で迎える令和三年のお正月は、暮らしを考え直すきっかけになれば、との想いから見ているだけで元気になれる黄色の壁に、床の間の原点である押板を設えました。太陽が昇ると素直にうれしく、福がやってくる兆しを感じます。改めて自然の大切さを気づき、お互いに感謝の気持ちをもって一つになってほしい、という願いを込めて、“悪いことが続いた後には幸運が開ける”という意味の一陽来復(いちようらいふく)をもじって『一陽来福 』 を表現しています。
花材のオモトは、株が大きいことから「大本(おおもと)」の意味を込めてオモトといわれ、また、葉が常緑でいつも青いことから「万年青」と名付けられています。常緑なので長寿をあらわし、深紅の実が子孫繁栄をあらわすことから、松竹梅とともに祝儀花の一つとされています。
この生け方は、嵯峨御流に伝わる祝儀花「万年青 七五三(しめ)の伝(でん)」です。
向かって右に七枚を縦姿、左に五枚を横姿、両方の株をつなぐ足元に三枚をいけて、全体として「天・地・人」の姿を構成しています。
壁一面を彩るのは、まばゆいばかりの黄色、すなわち陽(よう)の色です。何もない広々とした余白の空間が余分なものを覆い隠し、テーマを浮かび上がらせているのです 。
掛軸 紅唐紙 「四海波平龍眠穏」 尋牛斎宗也
花器 銘「泰鳳」菊花御紋・鳳凰蒔絵 八角足付(天皇陛下御即位・新元号令和改元記念として好む)
花 万年青「大象観」
敷板 螺鈿
2号
『御題「 実 」』未来の人々に夢を託す思いを込めて
天皇がお催しになる歌会を「歌御会」 といいます 。
現在は皇族だけでなく広く国民からも和歌を募り、毎年一月に歌会始が行われています。大覚寺が皇室と深い関わりを持つため、いけばな嵯峨御流では歌会始の御題にちなんだ「 御題花 」を毎年謹挿しています。
令和三年の御題は「実」で、その旧字「 實 」にある貫は 、紐で綴り合わせた財宝を示し、豊かな供え物が満ちているという意味になります 。転じて、充実していることを示し 、植物の実りの意味になりました 。この作品では南天と、命の根 が語源の稲を実りの象徴として、未来の人々に実(夢)を託す想いを込めています。南天は「難を転ずる」とも、また成就に通じる「成天」とも呼ばれお祝いの席にふさわしい植物です。
3号
『高砂』安寧に過ごせる時の実現を目指して
能楽「 高砂 」は 雌雄の老松の精が相生の老夫婦の姿で砂浜に現れます。相生とは、相ともに生まれ老いるまで 、の意味で夫婦の和合や、国家の繁栄を寿ぐことがこの楽曲のテーマとなっています。「千秋楽は民を撫で、万歳楽には命を延ぶ相生の松風 颯々の声ぞ楽しむ」という言葉で結ばれることから、大切な人とともに、安寧な時を過ごせますように 、という想いを込めています。
主な花材
赤松 黒松 福寿草
4号
「『辛丑好文』努力を続ける人々に感謝して」
干支とは十干十二支の組合せであり、令和三年の干支は 辛丑 。そこから発想し、幸せを運ぶ 「赤べこ」と、牛にゆかりが深い菅原道真公がこよなく愛した梅を華やかに取り合わせました。梅の別称「好文」は、晋の武帝の「学に親しめば梅開き、疎かにすると梅開かず」という中国の故事に由来します。努力を続ける人に感謝の気持ちを込めています。
主な花材
梅 柳 サボテン シンビジウム 葉ボタン
5号
『鶴亀』永遠の時を願う人々のために
鶴は千年、 亀は万年の長寿と云われ 、二つの長寿のシンボルを大きな円の形におさめ、新しい年のはじまりを知らせる日の出をイメージしました。鶴と亀は古来より、 良き事を寿ぐときに用いられる吉祥文様にも使用され 、夫婦円満や金運上昇の縁起ものとしても知られています。これからも末永く、 平穏な世界が続いてほしい、そのような想いを込めています。
主な花材
鶴:ツゲ ソテツ オーガスタの葉 ビロウヤシ
亀:ビカクシダ ハラン
6号
『慈光』輝く献身者への感謝を込めて
医療従事者をはじめ、献身的に働く人たちへの感謝を込めて、薬師如来の姿と力を荘厳華で表現したいと思いました。薬師如来が手に持たれる薬壺にも、医薬の仏としての特徴が表れています。薬師如来が司る瑠璃光の色を背景に、その体から放たれた輝く光を海松などで表現しています。
主な花材
南方竹の根 落羽松の気根 ユッカ タビビトノキの花 胡蝶蘭 海松 チャボヒバ
7号
『兆』輝く未来の実現への願いを込めて
いけばな嵯峨御流ゆかりの大覚寺にある大沢池。
その池に浮かぶ舟の船首には「龍頭鷁首」 が飾られています 。龍は水の上でも思い通りに進むことができ 、
鷁 は海上を吹く風にも負けないという伝説から、水上の安泰を願って備えられています 。これらの伝説の霊獣は、瑞祥すなわちめでたきことの象徴として扱われています。優雅に池を行きかう舟に見立てた花器には品格ある植物をいけることが伝承されています。人の心の持ちようで、幸多い輝く未来は実現できることを信じて。
主な花材
寿松 カトレア
コロナに負けるな!医療従事者への感謝を込めて、青い花をいけます!!
医療現場が逼迫する中、懸命な努力を続けてくださっている医療従事者の方へ、青い花や 青い花器を用いてお花をいけ、感謝の気持ちを表す
#いけばなリレー
に、私も投稿しました。
皆様も年末年始、ご自宅で過ごされる間に、Instagramに青いいけばな作品写真を載せ、末尾に次の言葉をコピー&ペーストして是非投稿してください。
#医療従事者に感謝
#青い花をいけよう
#嵯峨御流
#いけばなリレー
この写真は、大覚寺の朝の勤行が終わった7:00過ぎ頃の風景です。京都では珍しい雪景色を、参籠されていた華道の先生が撮影されたものです。そのお写真があまりに美しいのでブログで皆様にもご紹介させていただいた次第です。
さて、大覚寺に、御遠方からいけばなの授業に参加される方、またご紹介者があればお寺の宿坊に参籠することができます。
参籠された方は毎朝6:30から心経前殿でおこなわれる朝のお勤めに参加されることになっています。おわると、まだ誰も足を踏み入れていない中庭やお堂の厳かな雰囲気を、独り占めできるのです。朝の大沢池、格別の景色ですね!
月刊嵯峨、今年度の特集は、総司所大覚寺に講座の受講などで来られた皆様が、少し足を伸ばせば見られる場所にある美術館をわたくしがご紹介させて頂いてきました。
12月に、2月号、3月号の取材を終えて目出たく千秋楽という気分でもあります。でも、まだまだお勧めしたい場所は沢山あり、美術館に限らず素敵な庭園や風景、またそこへ行くまでの道のりの楽しさなど、嵯峨に関連ある美をテーマにすれば本当に沢山の場所が思いつき話題が尽きません。
この写真はどこで撮ったか、まだナイショですが、載せておきます。
良いお年をお迎えくださいませ。
12月号は、エネルギーが湧く色「赤」を主題にいけました。
令和2年も、あと半月ほどとなりました。無事、とは言えなくとも、とにかく新しい年を迎えられることに、まずは感謝、感謝です。
来年を良き年にするため、お互いに相手を思いあって行動していきましょう!
年末12月27日から1月13日まで、うめだ阪急コンコースウィンドウにいける迎春花には、一陽来復の思いを込め、明るい兆しを感じていただけるようないけばな作品を、嵯峨御流華道家が力を合わせて制作します。お見守り頂けましたら幸いです。