本文嵯峨御流からは2名が出品した「京都新世代展いけばな展2025」。京都新聞ビル地下1階印刷工場で1月30日から2月4日まで開催されました。

井尻智甫

矢野佳甫

1月26日。親和司所創立70周年記念華展「㒯」を拝見しました。
ホテル日航大阪 孔雀の間において、親和司所の記念華展が華やかに開催されました。
この日一日だけの華展のために一年以上前から準備を進められ、練りに練られた構成と立派な花材。ちょうど見頃の花々に迎えられ豊かで幸せな気持ちにさせていただきました。そしてお迎えくださる司所長、役員、司所員の皆様の誇りに満ちた華やかな笑顔に、司所の未来が明るいことを強く感じた次第です。
10時に開会式が執り行われ、司所長のご挨拶と来賓祝辞に続きテープカットで幕が開き、17時閉会までに、大変多くのご来場者で賑わったそうです。
1月26日。名古屋司所新年会でデモンストレーションをいたしました
名鉄グランドホテルで開催された名古屋司所新年会。大覚寺総務部長 岡村光真僧正様から新師範への許状授与式に続き、今年の新歌会始の御題「夢」をテーマにお話とデモンストレーションをいたしました。
作品「宝船」
花材は青竹、蛇の目松、紅梅、蘭(シンビジウム)、海うちわ
講演では、
1月22日の歌会始での御歌を改めてご紹介させていただきました。
天皇陛下御製
「旅先に出会ひし子らは語りたる目見(まみ)輝かせ未来の夢を」
皇后雅子様
「三十年(みそとせ)へて君と訪(と)ひたる英国の学び舎(や)に思ふかの日々の夢」
1月23・24日は、伝灯学院生の方が寒行として托鉢に出られる日です。出発の時刻になると、大覚寺明智門に内局はじめ職員の方が大勢、合掌してお見送りなさいます。
ちょうど、嵯峨御流沖縄司所の先生から、お庭に春一番に咲いた沖縄寒緋桜が総司所へ贈られていましたものを、職員の方がお玄関におおらかにいけてくださっていた桜を、皆様で愛でて喜びあいました。大覚寺境内の勅使門の外側の庭にも一本の沖縄寒緋桜が植えられていてますが、まだ開花のニュースは聞こえません。
季節は大寒。
でも桜を見ると暖かい風が吹いてくるような幸せな気持ちになります。






東福門院和子(まさこ)の女御御所を飾る襖絵は狩野山楽の代表作の一つ。今回初めて東京へ持ち出されての展示となります。この展示室は一室360度すべて障壁画に包まれるように並べてあり、中央にはゆったり座れるスペースもあり、さらに写真撮影も可能なのです。
また、大覚寺にいかれても普段は非公開の御冠の間を特別に実寸大に再現された部屋も展示されています。
その隣には桐竹の嵯峨蒔絵の本物が、一部飾られています。写真には写せませんので実際博物館に行かれてご覧ください。
また、写真はありませんが膝丸と髭切丸の兄弟刀が史上初!並べて展示してあります。清和源氏を代々守ってきた刀、それはそれは美しい。
いよいよ、東京国立博物館 平成館において、大覚寺展が始まりました!
1月20日には高円宮妃久子殿下ご臨席のもと開会式が行われ、妃殿下のテープカットで開幕しました。妃殿下のお召物は、能登地震への思いを込めて加賀友禅の、そして大覚寺展への思いを込めて障壁画のような柄に鳥も描かれていてとても雅で御心のこもったものでした。
内覧会に先立って、京都出身で本展PR大使の吉岡里帆さんが記者の取材会に来られていました。音声ガイドも吉岡里帆さんの声です。
一階ロビーに、お迎え花として御所車を、いけて飾りました。東京に拠点を置く7司所の方々とご一緒に。御所車には障壁画の趣に、松と金を背景に、牡丹をいけ、さらに上方には天皇の象徴とされ嵯峨蒔絵にもなっている桐竹鳳凰のモチーフを桐の枝、青竹、そしてタビビトノキの花を金色に染めて鳳凰を見立てて表現しました。
お迎え花は20日にお惜しまれつつ撤花いたしましたが、東博の建物内に水を使ういけばなが展示されたのはこれが初めてとの事。大変光栄な機会を関東の嵯峨御流の先生方と共に経験させていただきました事が嬉しく有難く思いました。
3月16日まで、見どころ満載の展示を何度も拝見しに伺うつもりです。特に、一室360度障壁画に包まれた圧巻の展示は大覚寺でも拝見できない構図です。しかもゆったりと座れて牡丹の間は写真撮影もOKとの事。
吉岡里帆さんはTVで、「わたくしの推しはうさぎの絵」と仰っていました。
天皇家所蔵の嵯峨天皇の肖像画は早い時期に行かないと拝見できませんので。ぜひお運びくださいませ。
嵯峨御流 新年拝賀式が1月5日、ホテルグランヴィア京都 源氏の間で開催され、午前中の晴表式では門人により嵯峨天皇様への献花式が行われました。献花式は全国106司所の中から17名の若手による供花に続き、全国師範を代表する献花者による献花の儀にて、一対の若松が所作も美しく清々しくいけあがり、新年をお祝いしました。
次に大覚寺門跡山川龍舟猊下への賀詞奏上は、真言宗大覚寺派代表・華道嵯峨御流・大覚寺学園嵯峨美術大学嵯峨美術短期大学から。
新年のご挨拶は、山川龍舟門跡猊下の御垂示。大覚寺執行長 堤大恵僧正から新内局のご紹介も兼ねて。晴裏式の祝宴は華道諸役や全国司所の中で称号をお持ちの方、大覚寺御用達、等 約300名が参会しとても和やかで賑やかな楽しい宴でございました。

泉屋博古館東京では1月25日から3月16日まで、「花器のある風景」と題して、花器をテーマにした展覧会が催されます。併せて、華道家 大郷理明先生の花器コレクションが同時に展示されます。わたくしは、数年前に大郷先生のコレクションを京都の泉屋博古館で拝見し、その折大郷先生ともお話をさせていただいたことがありました。先生の「いけばなの未来に少しでも貢献できればとの思い」で、貴重な御品をこの度泉屋博古館にご寄贈の運びとなられたとのことです。
皆様ご承知のように東博での「大覚寺」展が1月21日から3月16日まで開催されますので、併せてご覧になられたらいかがでしょうか。

巳歳限定デスヨ、と書家の瀬原加奈子様が下さった宝船。
今宵は枕の下に、御書き下ろしのこの宝船を敷いて良い夢を見よう!

大阪 うめだ阪急コンコースウィンドー迎春花2025
嵯峨御流の約100名がいけた、2025年の大阪うめだ阪急 コンコースウィンドー迎春花をご紹介します。1月13日までご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りくださいませ。
向かって右から。
1号ウィンドー「胡蝶の舞」
源氏物語 第24帖「胡蝶」に描かれる、源氏六条院の庭池で雅楽の舞などに興じる平安貴族の華やかで晴れやかな宴の様子を想いながらしつらえた。
襲(かさね) の色目に縁どられた背景の中で、姫君がかざした檜扇を垂撥(すいはつ)にかざり、一対の龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)のうち、鷁首舟(げきしゅせん)をかたどった銅器に胡蝶蘭をいけている。鷁(げき)は古代中国の想像上の水鳥で、風によく耐えて大空を飛ぶといわれ、現代でも水難を防ぐ意味で船首に鷁の彫刻または絵画が飾られる。
花材:胡蝶蘭
2号ウィンドー「百花魁(ひゃっかのさきがけ)」
連続する2号.3号.4号3面のウィンドーを、松・竹・梅と三間続きの障壁画に見立てた。このウィンドーは大覚寺障壁画「紅梅図」(狩野山楽筆)の構図をもとにいけた。
「百花魁(ひゃっかのさきがけ)」とは、梅の異名。狩野派が得意とした大画面に描かれる巨大な紅梅の樹幹の圧倒される姿と、うねり広がる枝の姿をとらえ、横に広がる枝を竹の間のウィンドーへと展開している。
寺号勅許1150年を令和8年に迎えられる大覚寺の、重要文化財障壁画などの宝物は1月21日~3月16日の間、東京国立博物館 特別展「旧嵯峨御所大覚寺 ―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」で拝見できる。
花材:梅 サルノコシカケ 松葉蘭 石菖 笹 ほか
3号ウィンドー「平安富貴」
厳寒に耐えて力強く生きる植物「松」「竹」「梅」の組み合わせは、もとは中国で描かれた雅題「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」が日本に伝わったものである。
日本では縁起の良いおめでたいものとして吉祥の意匠に使われてきた。
このウィンドーでは大覚寺「竹の間」「牡丹の間」の障壁画を見立てて、強い生命力・成長と繁栄の象徴「竹」と花の王と言われる豪華で品格ある「牡丹」を主題とした。
竹の異名は無事平穏という意味の「平安」。牡丹の異名「富貴」を合わせて、「平安富貴」の雅題を表した。題意は、富や豊かさに加えて心も穏やかに暮らすことができる、というもの。
花材:竹 松 梅 牡丹 椿 シャガ ほか
4号ウィンドー「不老長春」
お正月の神様を迎え “神を待つ”ことから“マツ“と呼ばれる松は、常緑で樹齢が長く、不老長寿の象徴。また、佳き縁の象徴とも言われる。
縁起物としての始まりは、平安時代の、長寿祈願の宮廷儀礼である「小松引き」で、現代でも門松へとその意が伝承されている。
大覚寺宸殿「松鶴図」に描かれた松の姿を、このウィンドーでは五葉松を用いてあらわした。
常磐木である松の異名「不老」と、薔薇の異名「長春」を合わせた雅題「不老長春」は、いつまでも若く長生きをする、理想の境地。
花材:五葉松 薔薇 十両 千両 苔 蛇のヒゲ ほか
5号ウィンドー「初夢」
令和7年新年歌会始の御題は「夢」。吉夢を見ればその年は幸運が授かるといわれる。
室町時代頃から良い夢を見るには七福神の乗っている宝船の絵に回文(かいぶん)を描いたものを枕の下に入れて寝るとよいとされた。この作品は、吉兆の宝船をいけている。
宝船の回文の言葉は「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」(長き夜の遠の眠りの皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)
題字の横の回文は、始まりの目印として漢字の「奈」から右回りでも左回りでも同じ読みとなる。
「奈」の文字には豊かさ、実り、栄える、華やか等の意味があり、「初夢」の題とともにどのような一年になるのか奈、と期待も高まる。
花材:桐 南方竹の根 ユッカ タビビトノキ 葉牡丹 百合 ネオレゲリア 海松 ほか
6号ウィンドー「乙巳(きのとみ)」
乙巳年は創造性や発展が促進される時期と言われる。蓄えてきた力を発揮して夢を実現させる年にしたいものである。
巳歳のシンボルは蛇、この作品には蛇の目松という名の松を用いた。巳(み)と実(み)を掛けて巳歳は「実を結ぶ」年と言われることから、松にいだかれるように南天をいけて、子孫繁栄を願う。
花材:寿松 蛇の目松 サボテンスケルトン南天 ピンクッション 古木 ほか
7号ウィンドー「奏(かなでる)」
7面のウィンドーの向かって右端は舞をテーマにし、このウィンドーでは音曲を表現して、ウィンドーのはじめと終わりをつないでいる。
音楽とは陰陽の調和。音を重ねて言祝ぎの響きを奏でる趣向とした。漆塗りの花器は旧嵯峨御所好「奏(かなでる)」。雅楽の十二律の音階を表現している。柳の線の交わりには音の調べを託した。古代中国の瑞鳥である鳳凰の鳳=オス、凰=メスそれぞれの鳴き声に6つの音階があったので、陰陽で合わせて十二音律ができたという(『呂氏春秋』より)。
花材:柳 蘭